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相続登記は自分で行うことができる?

結論からいうと、相続登記を自分で行うことは可能です。

法務局では相続登記の申請を本人が行うことを認めており、必ず司法書士へ依頼しなければならないわけではありません。

実際に、ご自身で戸籍を集め、書類を作成し、法務局へ申請して相続登記を完了される方もいらっしゃいます。

もっとも、実際には戸籍の収集や必要書類の作成に予想以上の時間がかかることも多く、途中で専門家へ相談される方も少なくありません。

特に、令和6年4月から相続登記が義務化されたことにより、早めに手続を進めることが重要になっています。

相続登記義務化の対象や申請期限については、相続登記の義務化!過去の相続も対象?で詳しく解説しています。

相続登記を自分で行う流れ

相続登記は、おおむね次の流れで進みます。

  1. 相続人を確定するため戸籍を収集する
  2. 遺言書の有無を確認する
  3. 遺産分割協議を行う
  4. 必要書類を集める
  5. 登記申請書を作成する
  6. 法務局へ申請する

書類がすべて揃っていれば、法務局へ郵送や窓口で申請することができます。

一見するとシンプルな流れに見えますが、実際には各ステップで多くの作業が発生します。

相続手続き全体の流れを確認したい方は、相続手続きは何から始める?死亡後にやること一覧も参考にしてください。

相続登記を自分で行う場合に意外と大変なこと

「相続登記は自分でもできる」と聞くと、役所で数枚の書類を取得すれば終わるように感じるかもしれません。

しかし、実際には想像以上に時間と手間がかかるケースも少なくありません。

戸籍を集めるだけでも複数の市区町村とのやり取りが必要になることがある

相続登記では、亡くなった方(被相続人)の出生から死亡までの戸籍を集める必要があります。

たとえば、

  • 奈良市で出生
  • 大阪市へ転籍
  • 結婚後に京都市へ転籍
  • 最終住所が神戸市

というケースでは、複数の市区町村から戸籍を取得しなければならない場合があります。

最近では戸籍の広域交付制度も始まりましたが、すべての戸籍が一度で揃うとは限りません。

出生から死亡まで、どの範囲の戸籍を集める必要があるのかについては、相続登記の戸籍はどこまで必要?で詳しく解説しています。

郵送で戸籍を請求する場合は、必要書類を準備する必要がある

本籍地が遠方の場合は、郵送で戸籍を請求することになります。

一般的には、次の書類を準備して各市区町村へ送付します。

  • 戸籍交付請求書
  • 本人確認書類のコピー
  • 定額小為替
  • 返信用封筒

ここで意外と手間がかかるのが、手数料の支払いです。

郵送請求では、通常、手数料を「定額小為替」で支払います。定額小為替は郵便局で購入できますが、請求する戸籍の種類や通数によって必要な金額が異なります。

定額小為替の見本
定額小為替の見本(画像はイメージです)

また、手数料の金額を間違えてしまうと、役所から追加送付や再送付を求められることがあります。

たとえば、450円の戸籍を2通請求するつもりが1通分しか送っていなかった場合、追加で定額小為替を郵送しなければならず、その分だけ手続が遅れてしまいます。

なお、現金を封筒に入れて送ることはできません。現金書留以外で現金を郵送することはできないため、事前に各自治体のホームページで必要な手数料を確認しておくことが大切です。

郵送で請求した場合、戸籍が届くまで1週間から2週間程度かかることもあります。

固定資産評価証明書の取得も必要になる

相続登記では、登録免許税を計算するために固定資産評価証明書を取得するのが一般的です。

不動産が複数の市区町村にある場合には、それぞれの役所へ請求しなければなりません。

遠方の自治体の場合には、こちらも郵送請求となるケースがあります。

評価証明書を郵送で取得する場合も、

  • 申請書
  • 本人確認書類のコピー
  • 手数料分の定額小為替
  • 返信用封筒

などを準備する必要があります。

複数の自治体へ請求を行う場合には、それぞれの役所ごとに必要書類や手数料を確認しなければならず、想像以上に時間がかかることがあります。

相続登記に必要な書類を判断しなければならない

相続登記に必要な書類は、すべての相続で同じというわけではありません。

遺産分割協議による相続、遺言書による相続、法定相続分による相続など、手続きの内容によって準備する書類が異なります。

必要となる戸籍、住民票、印鑑証明書、固定資産評価証明書などをまとめて確認したい方は、相続登記の必要書類一覧をご覧ください。

登記申請書の作成や法務局とのやり取りが必要になる

必要書類が揃った後は、登記申請書や遺産分割協議書を作成し、法務局へ申請します。

書類に不足や記載ミスがある場合には、法務局から補正の連絡が入り、追加書類の提出や書類の修正を求められることがあります。

「戸籍を集めるだけで数週間かかった」「平日に何度も役所や法務局へ連絡する必要があった」というケースも少なくありません。

遺産分割協議書には不動産を正確に記載する必要がある

遺言書がなく、相続人全員の話し合いによって不動産の取得者を決める場合には、遺産分割協議書を作成します。

遺産分割協議書には、住所として普段使用している住居表示ではなく、登記事項証明書などに記載された所在や地番、家屋番号などを確認して、不動産を特定できるように記載しなければなりません。

遺産分割協議書の具体的な書き方や不動産の記載例については、遺産分割協議書の書き方・記載例・サンプルを参考にしてください。

登録免許税を自分で計算する必要がある

相続登記を申請する際には、不動産の固定資産税評価額をもとに登録免許税を計算します。

不動産が複数ある場合や、土地の一部に免税措置が適用される場合などは、計算方法や申請書への記載にも注意が必要です。

登録免許税の計算方法や軽減措置については、相続登記の登録免許税はいくら?で詳しく解説しています。

自分で相続登記を行いやすいケース

相続人が少ないケース

たとえば、相続人が配偶者と子1人のみで、取得する不動産も自宅1件だけというケースでは、比較的手続を進めやすいでしょう。

遺言書があるケース

有効な遺言書があり、不動産の取得者が明確に決まっている場合は、遺産分割協議が不要になることがあります。

相続人全員の協力が得られるケース

必要書類の取得や押印がスムーズに進めば、比較的短期間で手続を完了できる可能性があります。

不動産の数が少ないケース

相続する不動産が自宅の土地と建物だけで、所在地も同じ法務局の管轄内であれば、比較的整理しやすいでしょう。

もっとも、土地と建物はそれぞれ別の不動産として登記されているため、登記事項証明書や固定資産税の課税明細書を確認しておく必要があります。

司法書士へ依頼した方がよいケース

相続人が多い場合

兄弟姉妹相続や代襲相続など、相続人が多い場合は戸籍収集だけでも大きな負担になります。

相続人同士で話し合いが必要な場合

誰が不動産を取得するか決まっていない場合には、まず遺産分割協議が必要になります。

また、相続人と連絡が取れない場合には、その相続人を除外して遺産分割協議を進めることはできません。

連絡が取れない相続人がいる場合の対応については、相続人と連絡が取れない場合はどうする?をご覧ください。

戸籍が複雑な場合

転籍を繰り返しているケースや、古い戸籍が多数存在するケースでは、必要書類の判断が難しいことがあります。

相続した不動産が複数ある場合

不動産が複数の市区町村に存在する場合には、固定資産評価証明書の取得や登録免許税の計算も複雑になります。

相続人が海外に住んでいる場合

海外に住んでいる相続人は、日本の印鑑証明書を取得できないことがあり、署名証明書や在留証明書などの準備が必要になる場合があります。

必要書類や手続きの進め方については、相続人が海外に住んでいる場合の相続手続きで詳しく解説しています。

相続後すぐに不動産を売却する場合

相続した不動産を売却する場合には、原則として、先に相続登記を行って相続人名義へ変更する必要があります。

売買契約や決済の予定が決まっていると、相続登記の遅れが売却スケジュールにも影響するため、早めに専門家へ依頼した方がよいでしょう。

相続登記から売却までの流れについては、相続した不動産を売却する流れをご覧ください。

「自分でやる」か「依頼する」か迷ったら

「できるだけ費用を抑えたい」という理由で自分で相続登記を始める方は多くいらっしゃいます。

一方で、戸籍の収集や書類作成に時間がかかり、途中から司法書士へ依頼されるケースも少なくありません。

たとえば、

  • 戸籍を取り始めたものの、どこまで集めればよいかわからない
  • 法務局から補正の連絡があり、どう対応すればよいかわからない

といったご相談はよくあります。

まずはご自身で進めてみて、難しいと感じた段階で専門家へ相談するという方法もひとつの選択肢です。

ただし、途中から依頼する場合には、すでに取得した書類を司法書士が確認し、不足している戸籍や証明書を追加で取得する必要が生じることがあります。

費用だけでなく作業時間も比較する

司法書士へ依頼すると報酬はかかりますが、戸籍の収集、書類の作成、法務局への申請、補正への対応などをまとめて任せることができます。

自分で行うか依頼するかを判断するときは、司法書士費用だけでなく、役所や法務局とのやり取りに必要な時間や負担も含めて比較することが大切です。

登録免許税や戸籍取得費用、司法書士報酬の目安については、相続登記の費用はいくら?で詳しく解説しています。

手続き完了までの期間も確認する

相続登記は、法務局へ申請してから登記が完了するまでの期間だけでなく、その前の戸籍収集や遺産分割協議にも時間がかかります。

自分で手続きを進める場合には、書類の不足や補正によって予定より長引くことも考えておきましょう。

手続きごとの期間の目安については、相続登記にかかる期間はどれくらい?も参考にしてください。

まとめ

相続登記は自分で行うことも可能ですが、相続関係が複雑な場合や、手続に不安がある場合には司法書士へ依頼することも検討しましょう。

特に、相続人が多いケースや不動産が複数あるケースでは、専門家へ依頼した方が結果としてスムーズに進むことが少なくありません。

また、戸籍や評価証明書の収集には想像以上の時間がかかることもあります。平日に役所や法務局へ行く時間を確保することが難しい場合には、早めに専門家へ相談することをおすすめします。