相続登記にはどのような書類が必要?

相続登記を行うためには、さまざまな書類を準備する必要があります。

「何を集めればいいのかわからない」というご相談は非常に多く、相続手続の中でも戸籍収集が最初のハードルになることが少なくありません。

まずは、一般的な相続登記で必要となる書類を確認していきましょう。

相続登記で必要となる主な書類一覧

一般的な遺産分割協議による相続登記では、次の書類が必要です。

書類 取得先・作成者
亡くなった方の出生から死亡までの戸籍 本籍地の市区町村
亡くなった方の住民票の除票又は戸籍の附票 最後の住所地の市区町村
相続人全員の現在戸籍 本籍地の市区町村
相続人全員の印鑑証明書 住所地の市区町村
不動産を取得する相続人の住民票 住所地の市区町村
固定資産評価証明書 市区町村役場
遺産分割協議書 相続人全員で作成
相続関係説明図 相続人又は司法書士が作成
権利証(登記識別情報通知)※必要な場合のみ お手元の書類

※相続の内容によっては、上記以外の書類が必要になることもあります。

最も大変なのは戸籍の収集

相続登記では、亡くなった方が生まれてから亡くなるまでのすべての戸籍を集める必要があります。

例えば、

  • 結婚により本籍を移した
  • 転籍を繰り返している
  • 古い戸籍が手書きで読みにくい

といったケースでは、複数の市区町村へ請求しなければならないこともあります。

事例

奈良県在住の方の相続手続であっても、大阪府・京都府・愛知県など、過去の本籍地が複数あるため、5~6か所の役所から戸籍を取得したケースもありました。

戸籍のサンプル

「戸籍」と聞いても、実際にどのような書類なのかイメージしにくい方も多いと思います。

下の画像は、戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)の見本です。

相続登記では、このような戸籍を複数集めて、亡くなられた方の出生から死亡までの身分関係を確認します。

戸籍の見本

※画像は東京都北区ホームページ「戸籍全部事項証明書(見本)」を引用しています。
出典:東京都北区ホームページ

権利証(登記識別情報通知)は必要?

相続登記では、亡くなられた方の権利証(登記済証・登記識別情報通知)がなくても手続できることが一般的です。

そのため、権利証が見当たらなくても、すぐに相続登記をあきらめる必要はありません。

ただし、被相続人の登記簿上の住所と最後の住所について沿革が取れない場合など、法務局から追加資料の提出を求められるケースや、権利証が必要になる場合もあります。

ご自宅に権利証が保管されている場合には、あらかじめ探しておくと手続がスムーズに進みます。

遺言書がある場合

亡くなられた方が遺言書を残している場合には、遺産分割協議書が不要になることがあります。

その場合は、遺言書、検認済証明書、相続人の戸籍などを利用して手続きを進めます。

なお、法務局の自筆証書遺言保管制度を利用していた場合には、家庭裁判所での検認は不要です。

法定相続どおりに登記する場合

相続人全員で話し合いを行わず、法定相続分どおりに登記する場合には、原則として印鑑証明書や遺産分割協議書は不要です。

ただし、将来的な不動産の売却や管理を考えると、相続人全員で話し合いを行い、取得者を決めておくケースが一般的です。

2024年から戸籍の広域交付制度が始まった

2024年3月から、戸籍の広域交付制度がスタートしました。

この制度により、本籍地以外の市区町村窓口でも戸籍を取得できるようになりました。

2024年から戸籍の広域交付制度が始まった

2024年3月から、戸籍の広域交付制度がスタートしました。

この制度により、本籍地以外の市区町村窓口でも戸籍を取得できるようになりました。

戸籍の広域請求について

※画像は法務省民事局作成のパンフレットを引用しています。
出典:法務省「戸籍法の一部を改正する法律について」

これまでは、本籍地ごとに郵送請求を行う必要がありましたが、現在では最寄りの市区町村窓口でまとめて取得できるケースも増えています。

例えば・・・

奈良市にお住まいの方で、出生時の本籍地は大阪府、結婚後は京都府へ転籍、最終本籍地は兵庫県という場合でも、広域交付を利用できれば、奈良市役所で一括取得できる可能性があります。

遠方の役所へ何通も郵送請求する手間が減るため、相続手続を進めるうえで非常に便利な制度といえるでしょう。

ただし、次のような場合には利用できないことがあります。

  • 代理人が取得する場合
  • 一部取得できない戸籍がある場合
  • コンピュータ化されていない古い戸籍が含まれる場合

また、広域交付を利用する場合は、本人が窓口へ行く必要があり、運転免許証やマイナンバーカードなどの顔写真付き本人確認書類が必要です。

制度を利用できれば戸籍収集の負担を大きく減らせる可能性がありますが、利用条件もあるため、事前に市区町村へ確認しておくと安心です。

書類収集が難しい場合は専門家への相談も検討しましょう

相続登記では、戸籍の収集だけでも相当な時間がかかることがあります。

特に、

  • 相続人が多い
  • 兄弟姉妹相続である
  • 数十年前の相続である
  • 相続人の一部と連絡が取れない

といったケースでは、専門家へ依頼した方がスムーズに進むことも少なくありません。

まずは必要書類を確認し、不明点があれば早めに相談することをおすすめします。

事例

「父の相続だから簡単だと思っていたが、調べてみると祖父母の戸籍まで必要だった」というケースは珍しくありません。

特に兄弟姉妹が相続人となる場合には、戸籍収集の範囲が大きく広がるため注意が必要です。