自分でやる!売買での名義変更の手順【全解説】

売買の登記

自分でやる!売買での名義変更の手順【全解説】

売買による不動産の名義変更を「自分でやりたい!」という方のために、手続の注意点、手順をまとめました。

売買での不動産名義変更は、売主と買主が共同で作業をする必要があります。(共同申請)
売主・買主とも、それぞれに準備物がありますので、ご自身で登記手続きをするには、相手方の協力が必要になります。

また、住宅ローンを利用して購入するような場合には、金融機関から「登記手続は、司法書士に依頼するように!」と注文を付けられることもあります。金融機関は、万一、登記手続に不備があると、住宅ローンの担保を確保できないリスクがありますので、信頼できる司法書士に依頼して欲しいという事です。

売買による名義変更登記をご自身でされる場合には、これらの点に注意しながら、慎重に作業を進める必要があります。

売買による不動産の名義変更をする場合の手順

不動産売買による不動産の名義変更は買主と売主が共同して登記を進めなければいけません。

買主だけで登記を進めると「本当に買主なのか」「勝手に名義変更するつもりではないか」と法務局は疑います。不動産は価値のある財産だからこそ手続きに慎重になるのです。

本当に売買があった。売主が本当に買主へと名義を渡すつもりで名義変更の手続きをしている。買主が勝手に手続きしているわけではない。だからこそ、買主と売主は協力して名義変更登記を進めなければいけません。この点は司法書士に不動産名義変更を依頼する場合も、売買による不動産名義変更を自分でする場合も同じです。

売買による不動産名義変更は「売主と買主が協力し合って進める(共同申請)」であるという点を再度確認してください。その上で、不動産売買のときに名義変更登記の基本的な流れを説明します。売買時の不動産名義変更を自分でする場合は次のような流れで売主・買主が手続きを進めます。

・不動産の売買
・登記事項証明書など権利関係の確認
・登記申請の準備
・自分で名義変更登記を申請する

以上が基本的な流れになります。

基本的な流れは「売買」「確認」「準備」「申請」です。

それぞれのステップに細かな作業がいくつもあるため注意が必要です。

次の見出しからは売買による不動産名義変更登記を自分でする場合の流れについて具体的に説明します。なお、すでにお話しした通り、売買の名義変更登記は共同申請なので、一通りの流れは買主と売主が両方関与しながら進めることを忘れないでください。

相手方、仲介業者、金融機関の了解を得る。

不動産の売買は買主と売主で行うという印象があるかもしれません。確かに不動産売買の主役は売主と買主かもしれませんが、他にもたくさんの人が関与します。不動産会社に仲介をお願いしていれば不動産会社も売買に関係しますし、住宅ローンの借り入れをするなら銀行も関係があるわけです。

このように不動産売買には買主・売主以外の人も関与するため、何か手続きをするときは登場人物全員で足並みをそろえなければいけません。そのためにも、登記を自分ですることを銀行や不動産会社などにも伝えておく必要があります。

登記は専門的な知識を要する手続きなので、金融機関などは自分ですることを嫌がるケースがあります。銀行が不安を抱いているのに勝手に自分で名義変更手続きをしてしまうと、トラブルになるかもしれません。

不動産名義変更を自分でする場合は、まずは不動産会社や住宅ローンの借入先である銀行などに話し、承諾を得ておきましょう。

売買契約、代金決済をしてから、登記手続

売主・買主・不動産会社・金融機関など関係者が不動産名義変更を自分ですることを承諾したら、次にすることは不動産売買を進めることです。売買の手続きが終わっていないのに名義変更登記はできません!

不動産売買から名義変更登記までの流れは次のようになります。

・不動産売買契約を締結する
・不動産売買の代金の授受
・売買した不動産の名義変更登記をする

名義変更登記まで売買手続きを進め、適切なタイミングで名義変更登記を申請するわけです。不動産名義変更を自分ですると決めたタイミングが売買契約の締結前などの場合は、まだ登記はできませんから、登記手続きができるところまで売買を進めることになります。

なお、売買の対象になる不動産が相続物件の場合は相続による名義変更を事前に済ませておくことが前提です。売主の方で相続関係などを確認し、相続物件の売買がスムーズにできるよう相続手続きなどを済ませて準備しておくことも必要になります。

 

税負担について確認

不動産売買で忘れられないのが、不動産の売買など取得に関しては税金がかかるという点です。

不動産取得税について

不動産取得税が直接登記手続きに関係するわけではありません。しかし、名義変更の際に納める登録免許税など他の税金と重なると負担が重く困ってしまう可能性があります。

税金負担で困らないように、売買の際は他の税金と一緒にあらかじめ確認しておくといいでしょう。不動産取得税については別の記事に詳しくまとめました。

 

登録免許税、登記費用について

司法書士に依頼するか、自分で登記申請するかに関わらず、不動産の名義変更などの登記手続きをする際には登録免許税という税金を納めなければいけません。登録免許税は登記の手数料のような位置づけの税金です。

登記の際は登録免許税の他に費用も必要になります。必要書類を取得する際の手数料などが費用として考えられます。司法書士に依頼した場合は司法書士費用もかかりますが、自分で登記する場合には、司法書士費用は不要です。

登録免許税や登記費用については別の記事にまとめましたので、参考にしてください。

 

不動産譲渡所得税について

譲渡所得税とは、不動産売買の利益に対する課税です。利益が大きければそれだけ課税額も大きくなる可能性があります。

登録免許税や登記費用と合わせると負担が苦しくなることが考えられるため、あらかじめチェックしておきましょう。譲渡所得税についても別記事にまとめています。

 

物件の権利関係調査

不動産売買の際にも物件調査はするはずです。建物の内側や周囲の状況、欠陥がないかなどを確認するのではないでしょうか。

売買による登記申請を自分でする場合も、物件調査は登記の事前準備として重要です。ただし、名義変更登記の事前準備のための物件調査は「不動産の権利状況」が中心になります。

不動産の権利関係がどうなっているか確認し、必要であれば適切な対処をしておくことも、名義変更の準備のひとつです。

登記事項証明書の取得方法など

不動産の権利状況は登記事項証明書を取得すると分かります。登記事項証明書は法務局の窓口で入手できる他、ネットや郵送でも取得可能です。

名義変更登記・売買の対象になる不動産の登記事項証明書を取得して権利状況などがどうなっているか確認してください。

対象物件に抵当権が付いている場合

登記事項証明書には「表題部」「権利部(甲区)」「権利部(乙区)」などがあります。

表題部には対象不動産の住所や構造、面積などが記載されています。人間で言うところの身長体重、血液型などの基本的な情報だと考えれば分かりやすいかもしれません。

権利部は甲区と乙区に分かれています。

登記事情証明書の権利部の上の方が甲区で、所有権についての記載がある欄です。権利部の下の方が乙区で、こちらは抵当権など不動産に付着している権利について確認できる欄になっています。

特に注目したいのは乙区に抵当権や根抵当権などが記載されていないかどうかです。抵当権や根抵当権が設定されているということは、売買・名義変更の対象になっている不動産が債務の担保になっている状態を意味します。

対象物件に抵当権や根抵当権などの記載がある場合は、売買による名義変更登記の前提として、債務を返済したうえで、抵当権や根抵当権の抹消登記を行う必要があります。対処には専門知識を要しますので、不動産会社や司法書士などに相談することをおすすめします。

必要書類の収集

不動産名義変更を自分でするためには名義変更登記のために必要書類を準備しておく必要があります。登記に必要な書類を添付して法務局に提出しなければ名義変更できないからです。不動産名義変更を自分で申請するためにも、必要書類の準備には早めに取りかかっておきましょう。

不動産名義変更を自分でするために必要になる書類には「売主の必要書類」と「買主の必要書類」があります。他の登記手続きを要するかによっても必要書類が変わってきますので注意してください。

・共通で必要な書類
売買による名義変更登記の申請書
※登記申請書のテンプレートは法務局のホームページからダウンロード可能です

・買主の必要書類
本人確認書類(免許証など)
印鑑
住民票             他

・売主の必要書類
権利証(登記識別情報)
印鑑証明書
実印
本人確認書類(免許証など)
固定資産全評価証明書      他

登記原因証明情報作成をつくる

登記の際は「なぜ名義変更することになったのか」が分かる情報を添付しなければいけません。この場合は不動産の売買が登記原因ですから、売買を証明する情報(書類)を作成します。

登記原因証明情報の記載事項

不動産名義変更を自分で登記原因証明情報を作成するときは、法務局で公開している「登記原因証明情報の例」が参考になります。

売買の登記原因証明情報には以下のような事柄を記載します。

・売主/買主の住所、氏名
・売買の対象になる不動産(住所や地番、家屋番号など)
・登記の原因になった事実または法律行為

「登記の原因となった事実または法律行為」とは、売買による名義変更に至った流れを時系列に沿って記載します。たとえばこんな感じです。

令和4年1月10日、売主Aと買主Bは売買契約を締結した。
令和4年1月15日、買主Bは売主Aに対して、売買代金を支払い、売主Aはこれを受領した。
よって、令和4年1月15日、本件不動産の所有権は、売主Aから買主Bに移転した。

注意点としては、事実と異なる記載は絶対にダメです。

ご自身で登記申請をする場合には、事前に管轄法務局の窓口で相談しましょう。売買の時系列をそのまま伝えれば、記載すべき内容について、アドバイスを頂けるかもしれません。

住所変更登記、抵当権抹消登記、抵当権設定登記について

不動産名義変更を自分でする場合、売買による名義変更の他に別の登記も申請を要するケースがあります。

たとえば不動産に抵当権が設定されており、売買による名義変更に合わせて抵当権を抹消する場合はその分の登記申請もすることになります。売買による名義変更と合わせて他の登記もする場合はその分の必要書類も準備しなければならないため注意してください。

その他には、住所が違っている場合の住所変更登記や抵当権を設定する場合の抵当権設定登記などがあります。売買による名義変更登記と別の登記を一緒に進める場合はその分だけ手続きや準備が複雑化する傾向にあるため、合わせて注意が必要です。

不動産名義変更に付随して、抵当権設定や抵当権抹消など他の登記申請が必要な場合は、難易度があがり、また、手続上のリスクが増大します。このような場合には、司法書士など専門家に相談することをおすすめします。

 

署名・押印

売買による名義変更登記は売主と買主の共同申請ですが、売主と買主が時間を合わせて一緒に法務局に足を運んで書類を提出しなければならないというわけではありません。一般的に不動産売買の決済のときにタイミングを合わせて、売主から買主へと登記申請に必要な書類一式を引き渡すという流れです。

不動産売買の決済のときに関係者が時間を合わせて集まり、代金の支払いと物件の引き渡しを行います。また、引き渡しと代金決済の確認をします。その流れで売主は自分が準備していた名義変更登記に必要な書類を買主に交付するわけです。

代金決済のタイミングで書類の必要個所に署名捺印などをして、登記申請に必要な準備が完了となります。

ここまでの流れを確認します。

まずは不動産売買契約を進める。
売買契約と同時並行で不動産情報や登録免許税額など手続きに必要な情報を収集する。
登記申請に使う書類を準備しておく。
代金決済のタイミングで必要書類を持ち寄り、受け渡しや必要個所への署名捺印を行う。

なお、司法書士に依頼した場合は必要書類の取りまとめや段取りなどは基本的に司法書士の方で行います。

登記申請

売主と買主が集めた売買による名義変更登記に必要な書類一式を法務局に提出します。提出したものに不備がなければ法務局の方で名義の書き換えが行われるという流れです。

不動産名義変更を自分でするときは、「管轄」と「完了日付」に注意してください。

法務局には管轄がある

法務局にはそれぞれ管轄があります。管轄については法務局のホームページで検索できますので、登記申請の管轄法務局窓口を間違えないようにしましょう。

名義変更は即日できるわけではない

名義変更登記の申請書一式を提出しても、即日その場で名義の書き換えが完了するわけではありません。

申請書や必要書類などの一式を法務局に提出してから、名義変更登記が完了するまで1~2週間ほどかかります。

混雑している場合はさらに期間を要する場合もあるため注意してください。

各法務局はホームページなどで登記の完了予定日を確認できるようにしています。登記完了の目安にしてください。

権利証が発行される

名義変更登記が終わると権利証(登記識別情報)を受けとります。権利証(登記識別情報通知)を受け取れば名義変更登記は完了です。

権利証(登記識別情報通知)は不動産の名義人であることを証明する重要な証明書です。大切に保存してください。

自分でする?専門家に依頼する?労力と費用を比較して検討しよう!

売買による名義変更登記は司法書士に依頼しなければならないというルールはないため、自分で手続きすることも可能です。しかし、ここまでの説明で分かる通り、売買・情報確認・準備・申請という流れ自体は単純ですが、流れの各部分を細かに見ればかなり複雑になっていることが分かります。想像していたよりも複雑で、手続きの準備に時間を要して困るケースも少なくありません。

自分で名義変更登記をするか。それとも、専門家に依頼するか。迷ったら、労力と費用を比較して検討してはいかがでしょう。

司法書士法人あやめ池事務所をご利用の場合、売買による名義変更登記に要する手数料は下記の通りです。

売買による所有権移転登記申請 30000円~ 【税込33,000円~】
登記原因証明情報作成 10000円~【税込11,000円~】
代金決済立会 8000円【税込8,800円~】
住宅ローンでの抵当権設定登記申請 25000円【税込27,500円~】
住宅用家屋証明書の取得 10000円【税込 11000円~】

ご自身で作業をおこなうことが難しいそうな部分だけ依頼することも可能です。

お困りの際は、是非、お気軽にお声がけください。

 

司法書士からひとこと

司法書士からひとこと

売買による不動産名義変更は、売主と買主の間での代金決済と併せて行われます。登記手続と代金決済の時期がずれてしまうと、思わぬトラブルとなる可能性があります。

不動産の名義変更、相続、遺言、離婚、会社登記など

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