どっちが安い??不動産名義変更を自分でやるvs司法書士に依頼する
相続や生前贈与、売買など、不動産の名義変更手続をしなければならない状況になった時、自分でやったほうが良いのか、専門家である司法書士事務所に依頼した方が良いのか、そもそも自分で出来るのか?お悩みの方も多いと思います。
そこで今回は、不動産名義変更を自分でやる場合と専門家である司法書士事務所に依頼した場合の手順、費用を確認してみたいと思います。
目次
自分で不動産の名義変更ができるのか??
相続や生前贈与、売買などで不動産名義変更が必要な場合は自分で登記手続きをすることも可能です。
不動産名義変更などの登記申請は、一般的に専門家である司法書士に依頼するケースが多くなっています。登記申請のためには法的知識を要するからです。しかし、自分で不動産名義変更の登記申請をしてはいけないというルールはありません。
自分で不動産名義変更の手続きをしても特に問題ないということです。
自分で不動産名義変更する場合は手順や費用に注意が必要
自分で不動産名義変更をすること自体は問題ありませんが、自分でやる場合は司法書士という専門家が手続きに関与しません。そのため不動産名義変更登記を申請する際は2つのポイントに注意が必要です。
不動産名義変更の手続きミスに注意する
自分で登記手続きをするときに注意すべきひとつ目のポイントは「手続きミス」です。
司法書士は登記の専門家ですから、不動産名義変更に必要なものから手順まで把握しています。だからこそミスすることはまずありません。手続きに必要なものが漏れていたとしても、司法書士の場合は法務局とやり取りして迅速に対応できます。
しかし、自分で不動産名義変更手続きをする場合は司法書士のような実務経験や知識はありません。手続きの手順を知ってスムーズに進められるように注意すると共に、手順の中でミスをしないよう注意する必要があります。
ミスがあればその分だけ不動産名義変更の完了が遅くなります。ミスをした結果、何度も法務局に足を運ぶことになっては「司法書士に依頼した方がよかった」と後悔する可能性があるため、よく注意したいポイントです。
不動産名義変更の費用に注意する
自分で不動産名義変更登記をするのと司法書士に依頼するのとでは費用が変わってきます。どちらがより費用が安くなるかなどは後の見出しで説明します。
自分で名義変更登記を行う場合の手順
自分で不動産の名義変更登記をする場合は、司法書士が行う手順を自分でこなさなくてはいけません。自分で不動産名義変更登記をする場合の手順は以下の通りです。
なお、以下で紹介する手順はあくまで基本的なものですので、不動産名義変更の登記原因(売買や相続など名義変更にいたる理由)によっては流れが多少変わってくるケースもあります。
収集や調査などは一緒に行うことも可能なので、あくまで基本的な手順で順番が前後する可能性もあると考えてください。
登記事項証明書で権利関係調査/平日、法務局
まずは名義変更する不動産の情報を収集する必要があります。名義変更する不動産の情報が分からないと、登記申請書類などの準備ができないからです。
自分で不動産名義変更登記をするときは、まず登記事項証明書などを取得して不動産の権利関係や名義について確認しておきましょう。
印鑑証明書、住民票など収集/市町村役所
不動産名義変更の登記を申請するときは申請書を提出するだけでなく、添付書類も提出しなければいけません。
添付書類は名義変更の理由によって変わります。印鑑証明書や住民票など、不動産名義変更にいたった原因に合わせた添付書類を収集しましょう。
固定資産税評価額の調査/市町村の税事務所
不動産名義変更登記の際は法務局に登録免許税を納めなければいけません。同じ名義変更でも原因によって登録免許税の税率が変わってきますので注意してください。
不動産名義変更登記の登録免許税は固定資産税評価額を使って計算します。固定資産税評価額は、毎年の固定資産税の納税通知書に付属している「課税資産明細」で確認可能です。
失くしてしまった場合は自治体の窓口で再発行できます。
登記申請書、登記原因証明情報の作成/平日、法務局で相談
登記に必要な書類を集めたら登記の申請書を作成します。
不動産名義変更登記の申請書は法務局のホームページから書式をダウンロード可能です。売買や贈与など不動産名義変更の原因によって提供されている書式が違うため注意してください。
登記申請、完了書類の回収/平日、法務局
不動産名義変更の登記申請書類が完成したら添付書類と一緒に法務局に提出します。不動産名義変更の登記申請書類を提出しても、基本的に名義変更が即日完了することはありません。
登記の完了予定日は法務局の窓口やホームページなどに掲示されています。目安としては完了まで1週間から10日ほどです。
登記完了後、法務局の窓口へ出向いて、登記識別情報通知・登記完了証・原本還付書類などの登記書類一式を受け取ったら、登記手続完了です。
一般的な司法書士に依頼した場合の手順
司法書士に不動産名義変更登記を依頼した場合は、不動産の情報確認や添付書類の取得、登録免許税の計算などをすべて司法書士に一任できます。不動産名義変更の手順を覚えておかなくても司法書士の方で必要なことは行いますので問題ありません。
司法書士事務所で相談、依頼
司法書士に不動産名義変更を依頼する場合は、まずは司法書士に相談・依頼します。費用がどのくらいかかるか心配な場合は司法書士に尋ねても問題ありません。
調査〜書類収集、作成〜登記申請までやってくれる
不動産名義変更を司法書士に依頼する場合は相談・依頼の後は基本的に登記が完了するのを待つだけです。
司法書士に依頼する段階で印鑑証明書など不動産名義変更の必要書類や添付書類を集めておく必要もありません。不動産の権利状態の調査や相続人の調査なども不要です。不動産名義変更登記の手続きから必要書類の取得まで司法書士の方ですべて行います。
手続完了後、権利証を受け取る
名義変更登記が完了すると司法書士から不動産の権利証を渡されます。権利証を受け取って司法書士への報酬を支払えば不動産名義変更の手続きは完了です。
登記にかかる費用は安くなる??
不動産名義変更登記を自分でやろうと思う理由のひとつは「費用が安いから」ではないでしょうか。しかし、本当に不動産名義変更を自分でやると費用が安いのかが問題です。
自分でやると司法書士手数料は0円
自分で不動産名義変更登記をすると司法書士に支払う報酬は必要ありません。司法書士報酬が必要ない分、費用は安いと言えるでしょう。
登録免許税等の実費部分は、同じ
自分で不動産名義変更をしても登記の際に法務局に納める登録免許税が安くなることはありません。登録免許税は登記の手数料のようなものなので、司法書士に依頼しても自分で登記しても額は変わりません。よって、自分でやったからといって実費部分が安いというわけではありません。
不動産名義変更登記の費用を安くおさえたいときは費用面だけでなく「自分で登記手続きをすることの労力」や、司法書士報酬の相場なども踏まえて考えてみるといいでしょう。司法書士報酬の相場については別記事にまとめましたので参考になさってください。
時間があるなら自分でも大丈夫。でも税金等に注意しよう!
不動産名義変更は自分で手続きすると司法書士報酬が安いため「税金を安くするなら自分でした方がいい」と思うかもしれません。自分で不動産名義変更登記をしてはいけないというルールはないため、時間があるなら自分で不動産名義変更しても大丈夫です。
しかし、問題は登記費用だけではありません。司法書士に依頼しなければ司法書士報酬はその分だけ安いわけですが、他の税金の問題があります。
不動産の名義変更があったということは、生前贈与や売買など、何らかの事情があったということです。登録免許税の他にも贈与税や不動産取得税などが絡んできますので、他税金にも注意してください。
贈与税などの他税金については別の記事で解説しています。司法書士と自分でやるどちらが安いかだけでなく税金面についても考えてみてください。