持ち家×離婚 誰に相談したらよい??相談先となる専門家を徹底比較!
離婚において持ち家が関係する場合、単純な手続きでは済まないことが多いです。共有名義や住宅ローンの問題、財産分与に関する取り決めなど、多くの課題が絡み合います。こうした複雑な状況に対応するには、専門家の力を借りる必要がある場合も多くあります。
この記事では、持ち家がある場合の離婚手続における相談先として、弁護士、行政書士、司法書士、不動産業者の役割を比較し、どの専門家に相談すべきかを解説します。
目次
専門家ごとの役割と特徴
弁護士:法的紛争解決のプロ
弁護士は、離婚調停や裁判といった法的紛争を扱う専門家です。離婚手続について、当事者間で冷静な話し合いができない場合や、トラブルが深刻化した場合など、法的な争点が多い場合に力を発揮します。
逆に当事者間で、離婚条件等についてある程度、合意が出来ている場合には、わざわざ弁護士を利用するメリットが少ないといえます。
行政書士:書類作成のプロ
行政書士は、離婚協議書など書類作成を得意としています。法的な代理権はないため、交渉や裁判には関与できません。また、持ち家に関する名義変更や、住宅ローンに関する抵当権の債務者変更など、登記手続については、取扱うことができません。
司法書士:登記・持ち家を含む財産分与に強い専門家
司法書士は、不動産登記を含む法律手続きのエキスパートです。持ち家が関係する離婚では、名義変更や財産分与に伴う登記が発生するため、非常に頼りになります。
離婚調停や裁判といった法的紛争を想定していない場合には、力を発揮します。
不動産業者:家の売却や資産評価のプロ
不動産業者は、持ち家の売却や市場価値の査定において力を発揮します。持ち家を売るかどうか迷っている段階で相談すると、具体的な選択肢を提示してくれます。
各専門家に相談するメリット・デメリット
弁護士の場合
•メリット:紛争解決や調停のサポートが得られる。法律の専門知識が豊富。
•デメリット:費用が高額になる場合が多い。
行政書士の場合
•メリット:書類作成のみを依頼するなら。
•デメリット:代理権がないため、交渉やトラブル解決は対応外。不動産登記は不可
司法書士の場合
•メリット:財産分与の登記や名義変更など、不動産関連の手続きの専門家
•デメリット:離婚調停や裁判の代理はできない。
不動産業者の場合
•メリット:持ち家の売却や市場価値の査定が迅速。
•デメリット:法律的なアドバイスは期待できない。
持ち家がある場合の離婚で特に重要なポイント
1.財産分与の方法
持ち家を「売却」するのか、「どちらかが単独所有する」のかを決める必要があります。
売却するにせよ、財産分与でどちらかの単独所有にするにせよ、財産分与や資金移動について、後々法的なトラブルにならないように慎重に検討が必要です。
2.住宅ローンの残債問題
住宅ローンが残っている場合、以後どちらがローン支払いを負担するのかが争点になることが多いです。資金を集めて、住宅ローンを一括繰り上げ返済して、名義変更を行うようなケースもあります。
金融機関と、しっかりと事前調整をおこなうこと必要となります。金融機関への相談を経ずに離婚手続を進めてしまうと、場合によっては、住宅ローン契約の違約となり、住宅ローンの一括返済を求められる可能性もありますので、慎重に検討が必要です。
3.子どもがいる場合の家の処分
子どもの生活環境を優先する場合、持ち家を維持する選択肢もあります。この場合、住宅ローンの負担や、持ち家の名義変更、金融機関との住宅ローンの処理方法についての事前調整が課題になります。
専門家を選ぶ際には、相談内容に応じた選択が大切
弁護士は費用が高い傾向にありますが、離婚手続の深刻度が高い場合は有効です。行政書士は、持ち家がない場合など、単純な離婚手続において有効と言えます。
司法書士は、不動産登記手続の専門家であることから、持ち家がある場合の離婚手続において有効であると言えます。
不動産業者は、持ち家の売却時に力を発揮しますが、離婚協議書の作成など、法的な部分に関与できませんので、他の専門家と併用することが良いと思われます。
各事務所の専門分野に注意
弁護士事務所や司法書士事務所、行政書士事務所であれば、どこでも同じではありません。同じ弁護士であっても、離婚手続を得意とする事務所もあれば、刑事事件のみを扱う事務所もあります。
具体的な依頼先を検討する際には、当然ですが、事務所ごとの専門分野、得意分野を把握しておくことが大切です。
複数の専門家を併用するケースも
離婚訴訟によって、持ち家を取得することになった場合
離婚訴訟によって、持ち家の名義変更や住宅ローンの処理方法が確定したような場合には、弁護士+司法書士の利用がオススメです。
離婚訴訟の部分については、弁護士が担当してもらいます。ついで、離婚訴訟後の持ち家の名義変更登記や住宅ローンの債務者変更登記などについては、司法書士が担当してもらうことになります。
離婚協議で、住宅ローンを一括返済した後、持ち家を売却することになった場合
当事者間の離婚協議の結果、住宅ローンを返済して売却することになった場合には、司法書士+不動産業者の利用がオススメです。
離婚協議書の作成部分について、司法書士が担当し、法的な問題点を精査して、作業を進めます。また、売却の前提として、持ち家について名義変更登記や抵当権抹消登記など、登記手続きを進めます。
ついで、持ち家の売却部分は、不動産業社に担当してもらうことになります。最後に、売買による買主さんへの名義変更登記については、司法書士に担当してもらいます。
まとめ
持ち家がある場合の離婚手続きでは、法律的な問題と不動産の名義変更、住宅ローンの処理が密接に絡み合います。適切な専門家に相談することで、スムーズな解決を目指すことができます。特に司法書士は、不動産登記や財産分与に強いため、持ち家がある場合の離婚手続で大きな力を発揮するといえます。