【事例解説】奈良市の住居相続!戸籍の収集や遺産分割協議者は自分で作って、名義変更登記だけ依頼する場合
戸籍の収集や遺産分割協議書の作成をご自身で手配して、名義変更登記の申請のみを司法書士に依頼する場合の手続方法や費用について解説しています。
目次
戸籍の収集や遺産分割協議書を自分で行って、不動産名義変更をする事例
夫であるAが亡くなり相続を進めています。
夫Aが残したのは私(妻)と子供ふたりが住む自宅です。生活費は私名義の口座を使っていたため夫の預金などはありません。確認してみましたが自分で株取引などもしていなかったようで、有価証券の遺産もありませんでした。
相続手続きは主に私がおこなっているのですが、準備は私が進めて一部の手続きだけ専門家である司法書士に依頼するということは可能でしょうか。
亡くなったのが夫で相続人は私や子供なので、相続としてはさほど複雑ではないと感じています。なので、戸籍や印鑑証明などは私が窓口から必要な分を取得し、遺産分割協議書も私が作成するつもりでおります。ただ、登記は自分でおこなうことに難しさを感じているため、必要書類を渡して司法書士にやってもらいたいのです。
必要書類の取得と作成は私がやり、相続登記のみ司法書士に依頼する。このような依頼方法は可能でしょうか。司法書士に相続登記を依頼する場合は必要書類の取得からすべて司法書士に任せなければならないのか知りたいです。
ご相談の要点
夫Aが亡くなり相続手続きをしたい
相続人は妻と子供2人(ともに成人済、同居)
遺産は住んでいる自宅(奈良市の土地建物、固定資産税評価額600万円)のみ
戸籍など必要書類は妻が取得する
司法書士には相続登記だけ依頼したい
戸籍の収集や遺産分割協議書の作成を自分で行って、不動産名義変更をする場合の注意点
戸籍など相続登記に必要な書類は依頼する側が収集し法務局への相続登記申請だけ司法書士に任せることは可能かというご相談です。
もちろん可能です。
相続登記の一連の流れはすべて司法書士に任せなければならないというルールはありません。相続人が必要書類を取得し司法書士に登記だけ依頼することも可能です。
司法書士への依頼では、戸籍などの書類の取得だけ依頼して、相続登記は自分でするというかたちでも問題ありません。相続登記の書類取得から登記まで一連の流れを依頼し、預金や有価証券などの相続手続きは相続人がおこなうことも可能です。
司法書士に登記だけ依頼して必要書類の取得は自分でやる場合、司法書士に支払う報酬の負担を軽減できるというメリットがあります。
自分で相続登記の書類収集や遺産分割協議書を作成するときは注意したいポイントが3つあります。注意点に留意していないと思わぬミスをしてしまうため、慎重に進めてください。
資料の収集について
今回の相続ケースは夫が亡くなり妻と子供が相続人になるパターンです。多数の兄弟が相続人になる結果、代襲相続や連絡が取れない相続人がいるなどのパターンよりは確かに分かりやすいケースかもしれません。
奥さまとお子さんふたりは自宅に同居しているというお話でしたから、遺産分割協議もしやすいのではないでしょうか。
相続人であるお子さんたちも同居しているのであれば、家庭の状況はよく見ていることでしょう。だからこそ、遺産である自宅をお母さま名義にするということに対しても理解を得られやすいのではないでしょうか。相続としてはシンプルでトラブルのリスクも低く進めやすいパターンだと言えるでしょう。
ただ、シンプルな相続ケースだからといって書類収集が簡単というわけではありません。
相続登記に必要な戸籍は、被相続人であるAさんの出生から亡くなるまでの連続した戸籍です。戸籍が一生のうち一部だけでも欠けていると原則的にNGになります。相続登記の戸籍集めでは、戸籍が連続しているかこまめにチェックし、欠けている部分を追加で集めるという流れでおこないます。簡単そうに見えますが、かなり大変な作業なのです。また、戸籍は見慣れていないと内容を理解するのが難しい書類になります
ご自身で戸籍の収集作業に着手して、「少し難しい」と感じる場合には、自分で収集するという方向から司法書士への依頼へと切り替えた方がよいかもしれません。収集作業に要する時間・手間を考慮したうえで、自分で行うのか、司法書士に依頼するのか検討されるとよいでしょう。
遺産分割協議書について
今回の相続ケースでは、お母さまとお子さんたちが同居しているということで、遺産分割協議はスムーズに進むのではないでしょうか。部屋で夕飯を食べながらお父さまの遺産である自宅の相続について話し、成人しているお子さんたちが同意すれば特に問題ありません。
しかし、問題になるのは遺産分割協議書の作成です。
相続がシンプルなケースにおいては遺産分割協議書の作成も簡単そうに見えますが、実は意外と難しく挫折する人は少なくありません。
遺産分割協議書には、被相続人や相続対象物件の特定、相続の方法など、明確に記載する必要があります。必要な記載事項に漏れが漏れていると相続登記の申請自体が却下されることもあるのです。
遺産分割協議書を作成する場合は、文言や記載漏れに注意する必要があります。相続登記の申請を司法書士に依頼する際に、内容や文言、記載漏れの有無についてチェックしてもらうといいでしょう。
家族だからといって、勝手に署名や押印はダメ
相続人同士が同居している場合によくあるのが「代筆」や「勝手に押印する」などです。
同居している親族同士が相続人になる場合、相手の実印などの場所を把握していることも少なくありません。そのため、相続手続きに必要な書類に勝手に押印することがあるのです。同居しているため軽く考えてしまいがちですが、押印は本人にしてもらわなければいけません。身近な関係だからといって勝手に判子を使ってはいけません。
代筆も相続人同士が身近な場合はよくあることです。
たとえばお子さんに相続について話したら「じゃあ、お母さんが書いておいて」という話になることがあります。逆のパターンもあります。親子なので気心が知れているからこそ代筆を頼み、応じてしまうのでしょう。
しかし、このような代筆もNGです。お子さんが書くべきところはお子さんが書き、お母さまが書くべきところはしっかり本人が書いてください。
代筆や勝手な押印は後のトラブルにつながります。場合によっては刑事罰に問われますので注意が必要です。
司法書士法人あやめ池事務所からのご提案
戸籍などの必要書類を自分で収集することで司法書士報酬を節約できるというメリットがあります。ただし、必要書類の収集や作成のためには相応の時間がかかります。時間に余裕があるか、よく考えて決めてください。
戸籍などの必要書類収集や遺産分割協議書の作成などに取り組んでみて少しでも難しいと感じたら迷わず司法書士に相談することをおすすめします。
戸籍の収集や遺産分割協議書の作成を自分で行って、不動産名義変更をする場合の手続きの進め方
権利関係調査 (あやめ池事務所)
司法書士法人あやめ池事務所にて、相続の対象となる不動産について、権利関係上の問題点がないか、調査を行います。また、登録免許税など、手続に付帯する税負担についても、予め調査確認をおこないます。お客様が行う作業はありません。すべての調査を、司法書士法人あやめ池事務所の担当スタッフが行います。
必要書類の準備 (お客様)
手続に必要な書類を収集して頂きます。
相続対象物件の権利証
相続人様全員様の印鑑証明書
相続人様全員様の実印
相続人様全員様の住民票
相続人様全員様の戸籍謄本
被相続人様(祖父)の出生~死亡までの戸籍謄本 対象物件の固定資産税評価証明書
署名・押印済の遺産分割協議書
登記書類の作成~署名・押印~登記申請
事前調査~必要書類の準備が完了しましたら、司法書士法人あやめ池事務所より、管轄法務局へ名義変更登記を申請させて頂きます。
不動産の持分贈与を行う場合の費用について
司法書士法人あやめ池事務所にて、今回のケースのような不動産名義変更登記のみを行う場合の費用は下記の通りです。
登記費用 67,480円
手数料 | 登録免許税等の実費 | |
---|---|---|
名義変更登記/相続 | 40,000円 | 24,000円 |
事前調査 | 2,000円 | |
登記情報・登記事項証明書
|
1,200円 | |
郵便代・通信費
|
2,280円 | |
小計 | 40,000円(税込44,000円) | 27,480円 |
合計 |
67,480円(税込71,480円) |
※前提条件について
相続人は妻と子供2人
遺産は住んでいる自宅(奈良市の土地建物、固定資産税評価額600万円)のみ
戸籍など必要書類は妻が取得する
司法書士には相続登記だけ依頼したい