弁済供託 による 休眠担保権 の抹消手続き|手順と費用を詳しく解説

抵当権の登記

弁済供託 による 休眠担保権 の抹消手続き|手順と費用を詳しく解説

長年使っていない古い抵当権が不動産に残ったままになっている…
いざ売却や相続となったとき、その「 休眠担保権 」が大きな障害になることがあります。特に、権利者である金融機関がすでに解散していたり、連絡が取れない場合は、通常の手続きでは抹消できません。

そんなときに有効なのが「 弁済供託 」を使った抹消手続きです。この記事では、 弁済供託 による 休眠担保権 の抹消について、具体的な流れや費用をわかりやすく解説します。

休眠担保権とは?

休眠担保権 とは、すでに債務が完済されているにもかかわらず、登記簿上に抵当権や根抵当権が残っている状態を指します。特に昭和時代に設定されたものがそのまま残っているケースが多く、古い不動産や相続物件にしばしば見られます。

 

 

抹消できない理由|関係者と連絡が取れない、金融機関が解散している

通常、担保権の抹消には「抵当権抹消登記」に必要な書類(解除証書・委任状など)を債権者から取得する必要があります。しかし、以下のような事情があると取得が困難です:

債権者である銀行が合併や解散で消滅している
譲渡先の金融機関が不明で、書類の発行ができない
担当部署が対応してくれない、または行方不明

こうした場合でも、いくつかの対処法によって抹消登記を進めることが可能です。

 

 

抹消できない場合の対処法まとめ|弁済供託以外の選択肢も

債権者と連絡が取れない、または金融機関がすでに存在しないなどの理由で通常の手続きでは抹消登記ができない場合、以下のような対処法があります。

① 弁済供託 による対応(最も現実的かつ実用的)

債権額相当の金銭を供託所に預け入れることで、債権者に支払ったのと同等の法的効果を得て、抹消登記が可能になる方法です。
供託の成立には、連絡不能や受領拒否などの理由が必要ですが、金融機関の解散や所在不明といった事情があれば活用できます。

② 簡易裁判所や地方裁判所への「登記手続請求訴訟」

弁済供託の条件が整わない場合、やむを得ず「登記手続を命じる判決」を得るための訴訟を提起することになります。
たとえば、すでに債務の弁済が終わっており、抹消請求の意思表示をしたにもかかわらず応じない場合などです。

判決が確定すれば、その確定判決に基づいて登記を申請することができます。
ただし、時間・費用・労力がかかるため、最終手段として選ばれることが多いです。

③ 相手方が判明している場合の内容証明郵便や催告

まだ法人や個人が存在しているが、抹消書類を出してくれない場合は、内容証明郵便で請求し、催告の記録を残すことで交渉の材料にすることがあります。
これにより、供託が可能になる要件(受領拒否)を整えることもできます。

④ 不動産の売買先や金融機関との交渉により「担保権付のまま取引」

例外的に、不動産取引を進める関係者間でリスクを許容したうえで、「 休眠担保権 付きのまま売買」されることもあります。ただしこれは非常に限定的な方法であり、買主の理解が得られにくい上、後のトラブルリスクも高く、推奨されません。

 

 

弁済供託 とは? 休眠担保権 を外すための特別な手段

弁済供託 とは、債務の支払いを債権者に直接行うことができない場合に、法務局が管理する「供託所」に弁済金を預ける制度です。民法や供託法に基づき、一定の事情があれば債権者の受領がなくても「弁済が成立した」とみなされます。

休眠担保権 のケースでは、債権額(たとえば30万円)を供託し、その証明をもって抵当権抹消の登記が認められます。

 

 

弁済供託 による 休眠担保権抹消 の流れ

4-1. 前提調査(登記簿・閉鎖会社調査・金融機関の変遷)

まずは登記簿謄本を確認し、債権者の正式名称と設定日を調査します。その後、債権者が存続しているかを確認し、合併・清算・廃業などの有無を調べます。

 

 

4-2. 供託の要件確認(連絡不能、受領拒否等)

以下のいずれかの状況であれば 弁済供託 が可能です:

債権者の所在不明または連絡不能
受領を拒否された
債権者の受領能力に疑義がある(例:解散)

法務局に事前相談することが望ましいです。

 

 

4-3. 供託書の作成と法務局相談

供託の目的・原因・金額を明記した「供託書」を作成します。書式は法務局のウェブサイトでも確認できますが、慎重に記載する必要があります。

 

 

4-4. 管轄供託所への提出と受理

物件所在地の法務局が指定する供託所へ供託書を提出し、供託金を納めます。手続き後、供託受領証が発行されます。

 

 

4-5. 抹消登記の申請

供託が完了したら、供託書の写し・供託受領証を添付して、抹消登記を法務局に申請します。

 

 

費用の目安と実務上の注意点

登録免許税:不動産1筆につき1000円
供託金:担保された債権額相当
司法書士報酬:一般的な報酬は10万円程度かと思われます。(案件の難易度による)

※供託金は最終的に取り戻すこともできますが、一定の条件が必要です。詳しくは司法書士にご相談ください。

 

 

弁済供託 が認められないケースと代替案

債権がすでに譲渡されていて新しい債権者がいる場合や、供託の原因事実が証明できない場合は、法務局が受け付けないこともあります。その場合は、法的手続きを通じて登記手続きに代わる裁判所の判決を得るなどの方法が必要になります。

 

 

チェックポイント|スムーズに進めるための確認リスト

登記簿の情報から正確な債権者を確認する
金融機関の統廃合・解散情報を調査する
供託理由を明確にし、法務局と事前相談する
供託が成立したら速やかに抹消登記を申請する

休眠担保権 の抹消は、自力では難しい手続きになることが多く、専門的な判断も求められます。司法書士に相談することで、スムーズかつ確実に手続きを進めることができます。


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司法書士からひとこと

司法書士からひとこと

休眠担保権 は、抹消に時間と手間を要するため非常にやっかいな存在です。ただし、抹消できないわけではありません。休眠担保の抹消手続きについて、実績のある専門家にお早めにご相談されることをオススメします。

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