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目次
- 1 株式や投資信託も相続財産になります
- 2 株式・投資信託の相続手続は証券会社で行います
- 3 証券会社で必要になる主な書類
- 4 相続人が証券口座を持っていない場合
- 5 ネット証券口座の見落としに注意しましょう
- 6 証券会社が分からない場合は「ほふり」へ開示請求
- 7 証券会社へ保有銘柄や残高の資料を請求しましょう
- 8 死亡日時点の評価資料は相続税の計算にも使用します
- 9 遺産分割では株式を誰が取得するか決めます
- 10 株式を相続した後は保有するか売却するかを決めます
- 11 配当金や投資信託の分配金も確認しましょう
- 12 NISA口座の非課税扱いは相続人へ引き継がれません
- 13 複数の証券会社を利用している場合は個別に手続が必要です
- 14 株式・投資信託の相続で注意したいポイント
- 15 株式・投資信託の相続手続はまとめて進めましょう
- 16 預貯金・株式の相続手続きをまとめて確認したい方へ
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株式や投資信託も相続財産になります
相続財産というと、不動産や預貯金を思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし、株式や投資信託などの有価証券も、被相続人が所有していた大切な相続財産です。
例えば、次のような金融商品が相続の対象になります。
- 上場株式
- 投資信託
- ETF(上場投資信託)
- REIT(不動産投資信託)
- 国債・社債
- その他の有価証券
近年は、NISAをきっかけに資産運用を始める方も増えています。
相続手続を進めるときは、預貯金や不動産だけでなく、株式や投資信託が残されていないかも確認することが大切です。
特に注意したいのが、ネット証券です。
紙の通帳がなく、取引報告書や残高報告書も電子交付になっている場合、家族が証券口座の存在に気付かないことがあります。
預貯金、株式、投資信託など、金融資産の相続手続全体を確認したい方は、「預貯金・株式の相続手続き完全ガイド|銀行・証券会社の手続きから払い戻しまで徹底解説」も参考にしてください。
株式・投資信託の相続手続は証券会社で行います
被相続人が株式や投資信託を保有していたことが分かったら、まずは利用していた証券会社へ連絡します。
証券会社へ死亡の事実を伝えると、通常は被相続人の証券口座での売買や出金が停止され、相続手続が開始されます。
その後、証券会社から相続手続に必要な書類や手続方法について案内があります。
銀行預金であれば、相続人の口座へ相続預金を振り込んでもらう方法が一般的です。
一方、株式や投資信託の場合は、被相続人の証券口座から相続人名義の証券口座へ移管する手続が基本となります。
株式・投資信託の一般的な相続手続
証券会社へ死亡の連絡
↓
必要書類の案内を受ける
↓
戸籍や遺産分割協議書などを提出
↓
相続人名義の証券口座へ移管
↓
保有を続ける・売却する
証券会社によって、最初の連絡方法、必要書類、相続人名義の口座開設方法などが異なります。主な証券会社の手続を比較したい方は、「証券会社別|株式・投資信託の相続手続きガイド【必要書類・手続きの流れ】」をご覧ください。
証券会社で必要になる主な書類
証券会社で求められる書類は、遺言書の有無や遺産分割の方法によって異なります。
一般的な遺産分割協議による相続手続では、次のような書類が必要になります。
| 主な書類 | 内容 |
|---|---|
| 戸籍謄本等 | 被相続人の死亡と相続人の範囲を確認するための書類 |
| 遺産分割協議書 | 株式や投資信託を誰が取得するかを証明する書類 |
| 相続人の印鑑証明書 | 遺産分割協議書や相続届に押印した実印を確認するための書類 |
| 本人確認書類 | 運転免許証やマイナンバーカードなど |
| 証券会社所定の相続書類 | 相続届、口座振替依頼書、移管依頼書など |
必要書類や有効期限は証券会社によって異なります。
同じ戸籍や遺産分割協議書を提出する場合でも、原本の提出が必要なのか、コピーでよいのか、原本を返却してもらえるのかは証券会社ごとに確認しましょう。
野村證券、大和証券、SMBC日興証券、SBI証券、楽天証券など、証券会社ごとの窓口や必要書類については、「証券会社別|株式・投資信託の相続手続きガイド」で確認できます。
相続人が証券口座を持っていない場合
株式や投資信託を取得する相続人が証券口座を持っていない場合は、原則として、新しく相続人名義の証券口座を開設します。
例えば、亡くなった父が株式を保有しており、その株式を長男が相続する場合、長男名義の証券口座が必要になります。
相続人名義の口座を開設した後、被相続人の口座から株式や投資信託を移管します。
「相続したらすぐに現金でもらえる」と思われることがありますが、証券会社によっては、まず有価証券の移管を行い、その後に相続人が売却する流れになります。
株式や投資信託は、預金のような払い戻しではなく、証券口座間の移管が基本と考えておきましょう。
これに対して、銀行預金では、必要書類を提出した後、相続人の銀行口座へ預金を振り込んでもらう方法が一般的です。預金手続との違いを確認したい方は、「相続預金の払い戻し手続き|必要書類・流れ・期間を分かりやすく解説」も参考にしてください。
ネット証券口座の見落としに注意しましょう
近年は、店舗のある証券会社だけでなく、インターネット上で取引を行うネット証券の利用が一般的になっています。
ネット証券では、取引報告書や残高報告書が紙で郵送されず、ウェブサイト上での電子交付となっていることがあります。
そのため、家の中に証券会社の書類が残っておらず、相続人が証券口座の存在を見落としてしまう可能性があります。
例えば、次のような手掛かりがある場合は注意しましょう。
- 本人から「株を持っている」と聞いたことがある
- 配当金計算書や配当のお知らせが届いていた
- 株主総会の招集通知が届いていた
- スマートフォンに証券会社のアプリが入っている
- NISAや投資信託の話をしていた
- 証券会社からのメールが届いている
これらの手掛かりがあるにもかかわらず、利用していた証券会社が分からない場合は、証券保管振替機構(ほふり)への開示請求を検討します。
証券会社が分からない場合は「ほふり」へ開示請求
「株を持っていたと聞いたことはあるけれど、どこの証券会社か分からない」
「スマートフォンに証券会社のアプリがあるものの、ログインできない」
このような場合に利用を検討したいのが、証券保管振替機構、通称「ほふり」の登録済加入者情報の開示請求です。
ほふりは、株式などの振替制度を運営している機関です。
ほふりへ開示請求を行うことで、被相続人が振替株式等の口座を開設していた証券会社や信託銀行などを確認できる場合があります。
ここで注意したいのは、ほふりへの開示請求だけで、保有していた株式の銘柄や株数、評価額のすべてが分かるわけではないという点です。
まず、ほふりへの開示請求によって口座のある証券会社などを確認します。
その後、判明した証券会社へ連絡し、死亡日時点の保有銘柄や株数、投資信託の口数、評価資料などを請求する流れになります。
ほふりの役割は、株式の相続手続を直接完了させることではありません。
被相続人が利用していた証券会社などを探すための、有力な調査手段の一つです。
証券会社が分からない場合は、ほふりへの開示請求により口座の開設先を確認できる場合があります。
株式を持っていたと聞いたことがある場合、配当金や株主総会の書類が届いていた場合、スマートフォンに証券会社のアプリがある場合は、「資料がないから株式はない」と判断しないことが大切です。
証券口座を見落としたまま遺産分割を終えると、後から株式が見つかり、追加の遺産分割協議が必要になる可能性があります。
証券会社へ保有銘柄や残高の資料を請求しましょう
利用していた証券会社が分かったら、証券会社へ相続が発生したことを連絡します。
このときは、単に株式や投資信託の名義変更を依頼するだけでなく、被相続人が死亡した時点の保有銘柄、株数、口数、残高などが分かる資料も請求しましょう。
証券会社から取得できる資料の名称や内容は各社で異なりますが、一般的には次のような資料があります。
- 死亡日時点の保有銘柄一覧
- 死亡日時点の株式の保有株数
- 死亡日時点の投資信託の保有口数
- 死亡日時点の残高証明書
- 株式や投資信託の参考評価額が分かる資料
- 配当金や分配金の支払明細
- 一定期間の取引報告書や取引残高報告書
これらの資料は、相続財産の全体像を確認するために必要です。
また、誰がどの株式や投資信託を相続するかを話し合う際にも、銘柄や数量だけでなく、おおよその価値が分からなければ公平な遺産分割を検討できません。
例えば、長男が株式を相続し、長女が預貯金を相続する場合を考えてみましょう。
株式の時価が分からないまま分け方を決めると、実際には一方が大幅に多く財産を取得していた、ということにもなりかねません。
有価証券の名義変更と評価資料の取得は、セットで考えることが大切です。
資料の名称、内容、手数料、発行までの期間は証券会社によって異なります。
証券会社別の資料請求方法や相続手続の窓口を確認したい方は、「証券会社別|株式・投資信託の相続手続きガイド」もご覧ください。
死亡日時点の評価資料は相続税の計算にも使用します
証券会社から取得した死亡日時点の保有銘柄一覧、株数、口数、参考評価額などは、相続税申告の要否を検討する際の基礎資料になります。
相続税は、預貯金、不動産、株式、投資信託などの相続財産を合計し、一定の債務や葬式費用などを差し引いたうえで、基礎控除額を超えるかどうかを確認します。
そのため、株式や投資信託を見落としていると、相続財産の総額を正しく計算できません。
証券会社から死亡日時点の残高資料を取得し、相続税を計算するための資料として税理士へ引き継ぐことが重要です。
ただし、証券会社の資料に記載された「死亡日時点の評価額」が、そのまま相続税申告上の最終的な評価額になるとは限りません。
例えば、上場株式の相続税評価では、原則として次の価額を比較して評価します。
- 被相続人が死亡した日の最終価格
- 死亡した月の毎日の最終価格の平均額
- 死亡した月の前月の毎日の最終価格の平均額
- 死亡した月の前々月の毎日の最終価格の平均額
一般的には、この中から税法上定められた方法により評価額を計算します。
投資信託についても、商品ごとの基準価額や換金時の手数料などを考慮して評価する場合があります。
したがって、証券会社から取得する評価資料は非常に重要ですが、相続税申告上の評価については、必要に応じて税理士へ確認しましょう。
遺産分割では株式を誰が取得するか決めます
被相続人が遺言書を残していない場合は、原則として、相続人全員による遺産分割協議で株式や投資信託を取得する人を決めます。
例えば、次のような分け方が考えられます。
- 特定の相続人が株式をまとめて取得する
- 銘柄ごとに取得する相続人を分ける
- 株式と預貯金を組み合わせて分ける
- 株式を取得した相続人が、他の相続人へ代償金を支払う
株式を複数の相続人で細かく分けると、その後の管理や売却が複雑になることがあります。
一方で、1人がすべての株式を取得すると、他の相続人との取得額に大きな差が生じることもあります。
そこで、証券会社から取得した評価資料を確認し、預貯金や不動産を含めた相続財産全体のバランスを見ながら分け方を決めることが大切です。
預貯金と株式を組み合わせて遺産分割を行う場合は、銀行口座の残高や預金の払戻し手続も同時に整理しておきましょう。預金手続の流れについては、「相続預金の払い戻し手続き|必要書類・流れ・期間を分かりやすく解説」で解説しています。
株式を相続した後は保有するか売却するかを決めます
相続人名義の証券口座へ株式や投資信託を移管した後は、そのまま保有を続けることも、売却して現金化することもできます。
ただし、株式や投資信託の価格は日々変動します。
遺産分割協議を行った時点と、実際に移管や売却を行った時点で、評価額が大きく変わる可能性もあります。
例えば、遺産分割協議の際には1,000万円相当だった株式が、手続完了時には900万円相当になっていることも考えられます。
反対に、株価が上昇していることもあります。
どの時点の評価額を基準として遺産分割を行うのかは、相続人間で確認しておくと安心です。
配当金や投資信託の分配金も確認しましょう
株式を保有していると、配当金が支払われることがあります。
投資信託についても、商品によっては分配金が支払われます。
相続手続中に配当金や分配金が発生した場合、被相続人名義の銀行口座へ振り込まれたり、証券会社の預り金として管理されたりすることがあります。
また、銀行口座が凍結されているなどの理由により、配当金が振り込まれず、別途受取手続が必要になることもあります。
銀行口座が凍結される時期や、凍結後にできなくなる手続については、「亡くなった人の銀行口座はいつ凍結される?解除方法も分かりやすく解説」をご覧ください。
そのため、株式や投資信託の相続では、保有銘柄だけでなく、次の点も確認しましょう。
- 死亡前に確定していた未受領の配当金
- 死亡後に支払われた配当金
- 投資信託の分配金
- 証券口座内の預り金
- 配当金の振込先口座
株式本体だけでなく、配当金や分配金も含めて確認することが、金融資産の見落とし防止につながります。
NISA口座の非課税扱いは相続人へ引き継がれません
被相続人がNISA口座で株式や投資信託を保有していることもあります。
NISA口座内の商品も相続の対象になりますが、被相続人のNISA口座をそのまま相続人が引き継ぐことはできません。
相続人の証券口座へ移管された後は、原則として相続人の課税口座で管理されます。
NISAの非課税枠や非課税扱いが、そのまま相続人へ承継されるわけではない点に注意しましょう。
複数の証券会社を利用している場合は個別に手続が必要です
被相続人が複数の証券会社を利用していた場合、それぞれの証券会社で相続手続が必要です。
例えば、A証券では国内株式、B証券では投資信託、C証券ではNISA口座を保有していることもあります。
戸籍や印鑑証明書など、同じような書類を各証券会社へ提出することになるため、証券会社が多いほど手続の負担も大きくなります。
証券会社へ連絡するときは、次の点を一覧にしておくと整理しやすくなります。
| 確認項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 証券会社名 | 店舗型証券・ネット証券・信託銀行など |
| 保有商品 | 株式・投資信託・債券・預り金など |
| 必要書類 | 戸籍、協議書、印鑑証明書、所定書類など |
| 評価資料 | 残高証明書、保有銘柄一覧、参考評価額など |
| 移管先口座 | 相続人名義の証券口座 |
複数の証券会社が見つかった場合は、各社の手続窓口や必要書類を一覧で確認してから進めると効率的です。詳しくは、「証券会社別|株式・投資信託の相続手続きガイド【必要書類・手続きの流れ】」をご覧ください。
株式・投資信託の相続で注意したいポイント
株式や投資信託の相続では、次の点に注意しましょう。
- ネット証券は紙の資料が少なく、口座を見落としやすい
- 証券会社が不明な場合は、ほふりへの開示請求を検討する
- ほふりの開示情報だけでは、保有銘柄や評価額までは確認できないことがある
- 証券会社へ死亡日時点の残高や評価資料を請求する
- 相続人名義の証券口座を開設する必要がある場合がある
- 相続税評価は証券会社の参考評価額と一致しない場合がある
- 配当金、分配金、預り金も忘れずに確認する
- NISAの非課税扱いは相続人へそのまま引き継がれない
株式・投資信託の相続手続はまとめて進めましょう
相続では、株式や投資信託だけでなく、預貯金、不動産、生命保険、その他の財産についても手続が必要になることがあります。
金融資産ごとに別々に手続を始めると、同じ戸籍を何度も集めたり、遺産分割協議書の内容を修正したりすることになりかねません。
まずは被相続人の財産をできる限り調査し、全体像を把握したうえで遺産分割を進めることが大切です。
特に、株式を保有していたという話を聞いたことがある場合や、配当金・株主総会の書類、証券会社のアプリなどが見つかった場合は、見過ごさないようにしましょう。
「証券会社が分からない」「資料が残っていない」という場合でも、ほふりへの開示請求や証券会社への照会によって調査を進められる可能性があります。
司法書士へ依頼すれば、不動産の相続登記とあわせて、預貯金や有価証券などの相続手続をまとめてサポートできる場合があります。
手続が多く、何から始めればよいか分からない場合は、早めに専門家へ相談するとよいでしょう。
預貯金・株式の相続手続きをまとめて確認したい方へ
金融資産の相続では、証券会社への手続だけでなく、銀行口座の凍結、相続預金の払い戻し、配当金や分配金の確認なども必要になることがあります。
預貯金・株式の相続手続の全体像から確認したい方は、次の総合ガイドをご覧ください。



