不動産名義変更の登録免許税を出来るだけ安く!軽減措置が適用されるパターンを解説
不動産名義変更登記の際にかかる費用に登録免許税があります。不動産名義変更登記の際にかかる登録免許税の意義や相談の多い「登録免許税を安くする方法」について解説します。
目次
不動産名義変更時に必要な登録免許税とは
登録免許税は不動産名義変更の登記をするときに必要になる税金です。
不動産名義変更登記の他には会社などの商業登記でも必要になりますし、特許や許認可の手続きなどでも納付を求められるケースがあります。国の機関に登記などの手続きをしてもらう際に支払う手数料のようなものだと考えれば分かりやすいかもしれません。
手数料的な性質を持つ税金が登録免許税になります。
登録免許税の納付方法
登録免許税は登記や登録、許認可などの手続きを受ける機関に納付します。
たとえば不動産名義変更登記の場合は登記申請時に印紙などで納付するという流れです。現金納付もできます。
登録免許税の税率
登録免許税は受けようとする手続きによって税率が変わってきます。また、同種の手続きでも税率が変わってくるため注意してください。
たとえば登記の場合は不動産登記と商業登記では税率が違います。同じ不動産登記や商業登記でも、何を目的とした登記かによって税率が違ってくるわけです。
登録免許税の計算方法
不動産名義変更などの登記のときに必要な登録免許税は以下の計算式で算出します。
登録免許税=課税標準×税率
課税標準とは「登録免許税を計算するときのベースになる金額や個数」のことです。登記の内容によってどのような金額や個数を入れるべきか変わってきます。
登記内容から課税標準を確認し、不動産名義変更登記などそれぞれの登記の税率を使って計算するという流れです。
不動産名義変更の原因によって税率が異なる!
同じ登記でも登録免許税の税率がどれだけ違うか不動産登記の中でも不動産名義変更を例に見てみましょう。
不動産名義変更でも「何を理由(原因)に名義変更に至ったか」がケースごとに異なります。
不動産を売買した場合は売主から買主に不動産名義が移ります。よって、不動産名義変更の理由は「売買」です。父親が亡くなって妻と息子が自宅や土地を受け継ぐ場合の理由は「相続」になります。このように、同じ不動産名義変更でも名義変更までの事情が違っているわけです。
不動産名義変更では売買や相続、贈与といった名義変更の理由(原因)によって登録免許税の税率は違っています。
「不動産名義変更の場合は一律に税率いくら」と決まっているわけではないため、名義変更の理由ごとに税率を調べて税額計算し、窓口に納付しなければいけません。
相続による不動産名義変更登記の場合
相続による不動産名義変更登記の登録免許税率は不動産価額の1,000分の4です。
たとえば不動産価額が1,000万円であれば4万円が登録免許税の税額になります。2,000万円であれば8万円が税額です。
贈与による不動産名義変更登記の場合
贈与による不動産名義変更登記の登録免許税率は不動産価額の1,000分の20です。不動産価額が1,000万円の場合は20万円が登録免許税になります。
相続と比較して登録免許税の税率が高くなっているところに注目してください。
相続を理由にした不動産名義変更登記は故人の財産を受け継ぐという性質があります。高い登録免許税率にすると受け継ぐべき財産が大幅に減ってしまう可能性があるのです。贈与の場合は財産を贈る余裕があるという点などから、相続よりも登録免許税率が高くなっています。
財産分与による不動産名義変更登記の場合
離婚のときに財産を夫婦で分割することを財産分与といいます。不動産を財産分与で分割した場合は不動産名義変更登記が必要になる可能性があります。たとえば夫名義の不動産を離婚に際して妻に財産分与したなどのケースです。
財産分与による不動産名義変更登記の登録免許税率は1,000分の20になっています。1,000万円の場合は20万円で、2,000万円の場合は40万円が登録免許税額です。
自分でやる!離婚による不動産の財産分与、不動産名義変更/全解説 ※準備中
売買による不動産名義変更登記の場合
土地や建物など不動産を売買したときの不動産名義変更登記の登録免許税率は1,000分の20です。課税標準は固定資産税の台帳に記載されている価格(評価額)になります。
2,000万円の不動産売買では40万円、4,000万円の不動産売買では80万円が登録免許税額です。
不動産名義変更登記に必要な登録免許税以外の税金については別の記事に一覧をまとめています。
住宅の「売買」については、軽減措置が適用される!?
不動産名義変更登記の際に必要になる登録免許税には軽減措置が定められています。軽減措置の条件に当てはまっていれば登録免許税を安くすることが可能です。
売買を理由(原因)にした住宅の不動産名義変更登記には以下のような登録免許税の軽減措置が定められています。
住宅の売買による不動産名義変更登記の税率は1,000分の20です。しかし、軽減措置の適用がある場合は登録免許税が1,000分の3まで安くなります。
登録免許税を安くする軽減措置を受けるためには、登記する不動産が条件を満たしていることを証明する市町村長の証明書を添付しなければいけません。軽減措置が使える不動産についてもルールがありますので注意してください。
不動産の取得後1年以内に不動産名義変更登記をしなければならないという条件にも注意が必要です。
土地の「売買」についても軽減措置が適用される
土地の売買による不動産名義変更登記にも登録免許税を安くする軽減措置があります。
土地の場合も本来の登録免許税は1,000分の20です。しかし、登録免許税の軽減措置を受けた場合は1,000分の15と安くなります。
相続による不動産名義変更にも軽減措置が適用される
被相続人から相続人に不動産の名義が移ったときも不動産名義変更登記をします。相続による不動産名義変更登記にも軽減措置があり、適用があれば登録免許税が安くなるのです。
一定条件に当てはまっている場合は相続登記の登録免許税が免税になるので、安くなるというより負担が無くなると言い換えた方が分かりやすいかもしれません。
たとえば祖父(父親の父)から土地を相続した父親が不動産名義変更登記をせずに亡くなったとします。父親が名義変更していない土地を息子が相続しました。このときに祖父から父親への相続による不動産名義変更登記は軽減措置により免税になる可能性があります。
息子は父親が不動産名義変更登記をしなかったために祖父から父親、父親から自分という流れで相続手続きをすることになるため、負担が大きくなる傾向にあります。手続き的な負担もありますが、登録免許税という点でも息子の負担は大きくなることでしょう。
しかし軽減措置により登録免許税が安くなりますから、相続人である息子の負担が軽減されるかたちになります。
この他に、価額が軽微(10万円以下)の土地を相続したときの不動産名義変更登記についても免税になっています。
迷ったら専門家に相談を
不動産名義変更登記の際に登録免許税を安くする軽減措置は条件が複雑です。単純に不動産名義変更登記をすれば登録免許税が安くなるというわけではなく、軽減措置ごとに条件を満たしていなければ安くなりません。登録免許税の軽減措置の条件を満たしているかどうかの判断は難しいのが実情です。
登録免許税を安くしたい。けれど、条件や登記が複雑で難しい。このようなときは無理に自分で手続きしようとせず専門家に相談することをおすすめします。
無理に自分で進めようとすると軽減措置を見落としたり、条件の解釈を間違えたりするリスクもあります。登録免許税を安くするためにも、専門家を頼ってください。