※本記事は2026年6月にリライトしました。ネット銀行利用時の登記手続や指定司法書士の取扱いについて、最新情報をもとに内容を更新しています。

ネット銀行で住宅ローンを利用する場合でも登記手続は同じ

ネット銀行で住宅ローンを利用する場合でも、都市銀行や地方銀行を利用する場合でも、必要となる登記手続自体は基本的に変わりません。

例えば、中古マンションを住宅ローンで購入する場合、一般的には次の登記手続が必要になります。

所有権移転登記

「所有権移転登記」とは、購入する不動産の名義を売主から買主へ変更する登記です。

抵当権設定登記

「抵当権設定登記」とは、住宅ローンを利用する金融機関のために、不動産に担保権(抵当権)を設定する登記です。

通常、所有権移転登記については、お客様ご自身で依頼する司法書士を選ぶことができます。

しかし、ネット銀行を利用する場合には、抵当権設定登記についてのみ、銀行指定の司法書士へ依頼しなければならないケースがあります。

「ネット銀行を利用すると、すべての登記を指定司法書士へ依頼しなければならない」と思われる方もいらっしゃいますが、必ずしもそうではありません。

なぜネット銀行には指定司法書士がいるの?

ネット銀行の多くは店舗を持たず、住宅ローンの手続もオンライン中心で進めています。

住宅ローンを実行する銀行側としては、

  • 融資実行日に確実に抵当権設定登記ができること
  • 必要書類の確認方法を統一すること
  • 登記手続の進捗管理を一元化すること

などの理由から、抵当権設定登記について指定司法書士制度を採用していると考えられます。

利用者側からすると自由に司法書士を選べない点はありますが、住宅ローンを安全かつ確実に実行するための制度といえるでしょう。

代表的なネット銀行の取扱い

住宅ローン利用時の抵当権設定登記について、代表的なネット銀行の取扱いを調べました。

住信SBIネット銀行

「抵当権設定登記などの抵当権に関する登記については、住信SBIネット銀行指定の司法書士が行います。」とのことです。

住信SBIネット銀行公式サイト

イオン銀行

原則として指定司法書士を案内していますが、案件によっては利用者側で司法書士を指定できる場合もあるようです。

イオン銀行公式サイト

ARUHI

「抵当権設定登記は、必ずARUHI指定の司法書士をご利用いただきます。」とのことです。

ARUHI公式サイト

auじぶん銀行

「抵当権設定登記は、auじぶん銀行指定の司法書士をご利用いただきます。」とのことです。

auじぶん銀行公式サイト

※取扱いは変更される場合があります。最新情報は各金融機関へご確認ください。

各銀行によって表現に違いはありますが、共通しているのは、指定や紹介の対象が主に「抵当権設定登記」であるという点です。

一方、所有権移転登記については、お客様が司法書士を選択できるケースも少なくありません。

所有権移転登記は自分で依頼先を選べるケースもある

ネット銀行を利用する場合でも、所有権移転登記については、利用者自身で司法書士を選択できるケースがあります。

例えば、中古住宅の購入では、

  • 抵当権設定登記 → 銀行指定司法書士
  • 所有権移転登記 → 自分で選んだ司法書士

という形で進めるケースもあります。

司法書士が2名になること自体は珍しいことではなく、実務上も問題なく進むケースがほとんどです。

司法書士が2人になると手続は複雑になる?

「司法書士が2人になると、やり取りが増えて大変そう・・・」

このように感じる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、実際にはそれほど心配する必要はありません。

例えば、

  • 所有権移転登記 → 買主が選んだ司法書士
  • 抵当権設定登記 → ネット銀行指定の司法書士

という分担になった場合でも、司法書士同士で連絡を取り合いながら決済・登記の準備を進めます。

お客様がそれぞれの司法書士の間に入って、細かな調整をするわけではありません。

特に不動産売買を多く取り扱っている司法書士事務所であれば、銀行指定司法書士と連携して手続を進めること自体は珍しいものではありません。

例えば、決済当日はどうなる?

中古マンションを購入し、ネット銀行の住宅ローンを利用するケースで考えてみましょう。

決済日までに、

  • 買主側司法書士が所有権移転登記の準備
  • 銀行指定司法書士が抵当権設定登記の準備
  • 不動産会社が売主・買主との日程調整
  • 金融機関が住宅ローンの融資準備

をそれぞれ進めます。

そして決済当日、それぞれの司法書士が必要な書類や本人確認等を行い、「予定どおり登記申請できる」ことを確認してから、住宅ローンの実行や売買代金の支払いへ進みます。

決済が完了すれば、それぞれの司法書士が担当する登記を申請します。

つまり、司法書士が2人になっても、

「どちらに何を渡せばいいの?」
「自分で司法書士同士の連絡を取り持たないといけないの?」

と心配する必要は基本的にありません。

司法書士、不動産会社、金融機関が連携しながら手続を進めます。

不動産購入時の名義変更や決済の流れについては、

不動産購入の名義変更の流れ

でも詳しく解説しています。

司法書士が2人になると登記費用も高くなる?

ここは気になるところだと思います。

司法書士が2人関与する場合、

  • 所有権移転登記を担当する司法書士
  • 抵当権設定登記を担当する司法書士

それぞれに司法書士報酬が発生することがあります。

そのため、1人の司法書士がまとめて手続する場合と比べると、報酬や実費の構成が変わることがあります。

ただし、司法書士が2人になるからといって、登録免許税まで二重にかかるわけではありません。

登録免許税は、所有権移転登記や抵当権設定登記について、それぞれ法律に基づいて計算される税金です。

司法書士の人数によって税額が決まるものではありません。

登記費用を比較するときは、「総額はいくら?」だけではなく、

  • 登録免許税などの実費はいくらか
  • 司法書士報酬はいくらか

と分けて確認すると分かりやすいでしょう。

自分で司法書士を選びたい場合は早めに伝えよう

ネット銀行を利用する場合でも、所有権移転登記について自分で司法書士を選べるケースがあります。

ただし、決済日の直前になって、

「やっぱり所有権移転登記だけ別の司法書士にお願いしたい」

となると、少し話がややこしくなります。

不動産売買では、決済日に向けて、

  • 売主
  • 買主
  • 不動産会社
  • 金融機関
  • 売主側司法書士
  • 買主側司法書士
  • 銀行指定司法書士

など、多くの関係者が準備を進めています。

そのため、自分で司法書士を選びたい場合には、できるだけ早い段階で不動産会社と金融機関へ伝えておくことをおすすめします。

また、「そもそも住宅購入の登記は自分でできるの?」という方は、

住宅購入の登記は自分でできる?

の記事も参考にしてください。

司法書士法人あやめ池事務所では所有権移転登記のみのご依頼にも対応しています

「抵当権設定登記はネット銀行指定の司法書士にお願いする。でも、所有権移転登記は自分で司法書士を選びたい」

このようなご依頼にも対応しています。

司法書士法人あやめ池事務所では、ネット銀行指定司法書士が抵当権設定登記を担当する場合でも、所有権移転登記のみを担当することが可能です。

ご依頼後は、当事務所から銀行指定司法書士や不動産会社などへ連絡し、決済日に向けて必要な調整を進めます。

お客様に司法書士同士の間へ入っていただき、細かな調整をしていただく必要は基本的にありません。

ネット銀行を利用するからといって、最初から「司法書士は選べないんだ」と諦める必要はありません。

まずは金融機関へ「所有権移転登記については、自分で司法書士を選べますか?」と確認してみてください。

選択できる場合には、ご自身で司法書士を探して依頼することができます。