【事例解説】相続人の1人が未成年!東大阪市の家(亡父名義)を妻へ名義変更する場合
相続人の1人に未成年者がいる場合に、東大阪市の家(亡父名義)を妻へ名義変更する際の手順や費用について、事例に沿ってご案内しています。
目次
東大阪で相続人が未成年の場合の不動産名義変更に関する事例
先日亡くなった夫の相続で困っています。
夫が急逝し妻である私と子供3人が相続人になりました。夫の遺産は東大阪市の自宅マンションと預金があります。夫の遺言書などは特に残っていません。
子供たちと今後の生活について話し合ったところ、妻である私がすべて相続するという話になりました。私が相続して管理し、今後の生活に役立てるつもりでいます。
夫の遺産分割についてはスムーズに決まったのですが、いざ相続手続きという段になって問題が発生しました。相続人である子供のうち一人が遺産分割協議に参加できないというのです。
長男と長女は成人しているのですが、次男は18歳で未成年になります。未成年の次男は遺産分割協議ができないという話でした。
夫名義の不動産や預金など、どのように手続きすればいいのか分からない状態です。未成年はやはり遺産分割協議には参加できないのでしょうか。また、相続人に未成年がいる場合はどのように手続きを進めたらいいのでしょう。
夫の遺産は今後の生活にも関わるため、相続税の課税があるかどうかも不安です。相続税や未成年がいる場合の遺産分割協議について教えてください。
ご相談の要点
夫の相続で遺言書はない。
相続人は妻と3人の子供である。
子供のうち2人は成人しているが1人は未成年(18歳)である
遺産は妻が相続すると子供たちとも話がまとまっている
夫の遺産は次の通りである
東大阪市内の自宅マンション(固定資産税評価額500万円)
預金300万円
相続手続きをしようとして未成年は遺産分割協議に参加できないといわれた
相続手続きをしたいが未成年がいる場合はどうすればいいのか分からない
遺産は今後の生活に充てるため相続税も不安である
相続人に未成年者が含まれる場合の不動産名義変更の注意点
相続の際に相続人のひとりが未成年で相続手続きが止まってしまうケースは少なくありません。遺産分割協議に未成年は参加できないからです。今回のようなケースでは遺産分割協議の前に特別代理人の選任という手続きをしなければいけません。
相続税と未成年相続人の手続きについて順番に説明します。
相続税について
まずは相談者が不安に感じている相続税についてです。
自宅マンションや預金を今後の生活に充てる場合、相続税の課税があるとその分だけ今後の生活に充てられる遺産が少なくなります。未成年のお子さんもいるというお話なので、相続税お支払いで遺産が減るのではないかという不安は当然のことかもしれません。
結論から言うと、今回の相続ケースで相続税の課税はありません。
相続税には基礎控除があります。相続税の基礎控除内であれば相続税の課税はありません。基本的に相続税申告も必要ないのです。
相続税の基礎控除は次のようになっています。
3,000万円+600万円×法定相続人の数=基礎控除の額
自宅マンションと預金を合わせても基礎控除の範囲内に収まりますので、相続税については特に心配する必要はないと考えられます。
未成年者がいると遺産分割協議ができない
相続税の不安がなくなっても、未成年の相続手続きという問題が残ります。未成年は遺産分割協議に参加できないのは本当です。
未成年のお子さんの手続きの際に、よく父母が代わって手続きします。遺産分割協議も未成年は自分でできませんから、よくある手続きのときのようにお母さんやお父さんが代理してあげなければならないのです。
しかし、今回の相続では親が代理することには、問題があります。
まず、お父さまの相続なのですから、亡くなったお父様が子供に代わって参加できないのは当然ですね。
ではお母様はどうでしょうか。子供の代わりに親が参加しなければならないなら、お母さまが未成年のお子さんのサポートをしようと考えるかもしれません。
今回のような相続ケースでは、お母さまはお子さんと同じ相続人の立場ですから、同じ相続人の立場であるお子さんの代わりはできないというルールがあります。お母様の利益とお子様の利益が相反する関係にあるからです。
このように、お父さまもお母さまも未成年のお子さんの代わりができない場合は別の人(代理人)を立てる必要があります。
未成年の特別代理人について
未成年であるお子さんの代理人(特別代理人)は裁判所が選びます。そのため、遺産分割協議をするためには裁判所に特別代理人の選任を申し立てなければいけません。
特別代理人は利害関係のない第三者が選ばれます。特別代理人が選任されてから、遺産分割協議を進めるという流れです。特別代理人が選任されるまでには2~3週間ほどかかります。
お母さまとしては「同じ相続人なのだから自分が代理してもいいのではないか」と思うかもしれません。
今回の相続ケースではお母さまとお子さんは利害が対立している関係です。お母さまの相続分が増えれば子供が損し、子供の相続分が増えればお母さまが損する構図になっています。
お母さまやお子さんには利害で対立するような意図はないかもしれません。ですが、未成年を守るためにこのようなルールになっているのです。
司法書士法人あやめ池事務所からのご提案
相続手続きの進め方についてはふたつの方法が考えられます。
ひとつは特別代理人の選任を裁判所に申し立てて、特別代理人を交えた遺産分割協議をすることです。
特別代理人の選任申立てをするためには必要書類を準備しなければいけません。司法書士に依頼すれば特別代理人の選任に必要な書類の準備から選任申立て、遺産分割協議書の作成、相続登記まですべて司法書士がトータルでお手伝い可能です。
もうひとつの方法は、今はあえて相続手続きをしないという方法になります。
お子さんは現在18歳というお話でした。お子さんが成人するまであと2年といったところでしょう。お子さんが成人するまで遺産分割協議などの相続手続きは一端ストップしておいて、お子さんが20歳になったタイミングで手続きするわけです。
お子さんが20歳になれば特別代理人を選任する必要はなくなります。お子さんたちとお母さまであらためて遺産分割について話をまとめて相続手続きを進めるという流れです。
お父さまの名義をお母さまに変えないと自宅に住めないというわけではありません。そのときまで自宅マンションもお父さまの名義にしておいて、お子さんが20歳になったタイミングで相続登記の手続きを進めお母さまの名義に変えます。
どちらの方法でも相続税の心配はいりません。お子さんたちともよく話し合って決めてください。
相続人に未成年者が含まれる場合の不動産名義変更手続の進め方
権利関係調査 (あやめ池事務所)
司法書士法人あやめ池事務所にて、相続の対象となる土地について、権利関係上の問題点がないか、調査を行います。登録免許税など、手続に付帯する税負担についても、予め調査確認をおこないます。お客様が行う作業はありません。すべての調査を、司法書士法人あやめ池事務所の担当スタッフが行います。
必要書類の準備
手続に必要な書類を収集します。ご要望があれば、司法書士法人あやめ池事務所で代理収集することも可能です。
相続する物件の権利証もしくは登記識別情報通知
相続する物件の課税明細書
相続人様全員様の印鑑証明書
相続人様全員様の実印
相続人様全員様の本人確認書類の写し
相続人様全員様の住民票
被相続人様の出生~死亡までの戸籍謄本
登記書類の作成~署名・押印~登記申請
事前調査~必要書類の準備が完了しましたら、司法書士法人あやめ池事務所にて、登記申請書、登記原因証明情報、遺産分割協議書、上申書など、名義変更登記に必要な書類を作成します。
そのうえで、相続人様全員様に、署名・押印をして頂きます。
登記書類への署名・押印が済みましたら、司法書士法人あやめ池事務所より、管轄法務局へ名義変更登記を申請させて頂きます。
相続人の一人が未成年者の場合の不動産名義変更の費用
司法書士法人あやめ池事務所にて、今回のケースのように、相続人の一人が未成年者の場合の不動産名義変更登記の費用は下記の通りです。
登記費用 102,100円(税込110,100円)
手数料 | 登録免許税等の実費 | |
---|---|---|
名義変更登記/相続 | 30,000円 | 20,000円 |
遺産分割協議書作成 | 10,000円 | |
未成年者の特別代理人選任申立書類作成 | 30,000円 | |
登記情報・登記事項証明書 | 600円 | |
郵便代・通信費 | 1,500円 | |
小計 | 80,000円 (税込88,000円) |
22,100円 |
合計 |
102,100円(税込110,100) |
※前提条件について
東大阪市内の自宅マンション(固定資産税評価額500万円)
相続人は4名、うち1名は未成年者 戸籍等の相続関係書類はご本人様で収集する。