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【事例解説】東大阪市の家(時価2000万円)について、贈与税基礎控除の範囲内で、持分移転をする場合

東大阪市にある自宅不動産(時価2000万円)について、贈与税の基礎控除(110万円)の範囲内で、父から長男へ、持分移転をする場合の、注意点、手順、費用について解説しています。

不動産の贈与に関する事例

私(長男)の父親の相続について不安を抱えています。

現在は健康状態が良好の父親も65歳になりました。そろそろ将来的な相続のことも考えなければと思い、父と私で税理士に相談したところ、現在の資産状況では相続税が課税される可能性が高いことが分かりました。

税理士より相続税対策として生前贈与を勧められています。父とも話し税理士のアドバイス通り生前贈与を活用して相続対策することに決めました。

私の父には5,000万円を超える金融資産があります。生前贈与については父名義の土地から進めてはどうかと考えているところです。具体的には、父名義の土地を毎年少しずつ私名義に変更するという方法を検討しています。

父には生前贈与の同意は得ていますが、土地を毎年少しずつ生前贈与することについては同意を得ていません。

父の同意を得ることを前提に生前贈与を進める場合、注意すべきことはあるでしょうか。贈与を進める上で税金など注意した方が良いポイントがあれば教えてください。

ご相談の要点

父親は健康状態良好だが現在は65歳で相続税対策を考えている。
相談者は長男で35歳、父親と税理士に相談し生前贈与を決めた。
父親には5,000万円を超える金融資産がある。
生前贈与の対象は東大阪市の土地(200坪、固定資産評価額2000万円)を予定している。
父親の土地の生前贈与は、少しずつ持分を移転するかたちで進めたいと思っている。
父親の土地を戦前贈与する上で注意すべきポイントを知りたい。

不動産贈与で注意すべき点

相続時に相続税がかかる可能性が高いため、税理士のアドバイスにより生前贈与をしたいというご相談です。

まずは父名義の土地を相談者である息子に生前贈与したいと考えており、土地は1回で生前贈与するのではなく、持分を少しずつ生前贈与する予定で進めたいとのこと。

このケースで注意すべきポイントは税金や贈与の進め方です。以下の4つのポイントに注意する必要があります。

贈与税や不動産取得税などの税金に注意する
土地の持分を贈与すると時間がかかるため早めに着手する
定期贈与と認定されないように生前贈与時は注意する
生前贈与のためにも父親の意思確認に注意が必要である

贈与税について

生前贈与は贈与の一種なので、贈与税の課税対象になります。贈与税は税率が高いため、生前贈与の際は贈与税対策を考えておくことが重要です。

贈与には暦年贈与というルールがあります。毎年110万円までの贈与は非課税というルールです。毎年110万円を超えないように生前贈与すれば基本的に贈与税はかかりません。土地を持分で毎年贈与するなら、110万円という非課税枠を考慮して進めるといいでしょう。

今回のご相談で生前贈与するのは2,000万円の価値の土地です。1回で贈与すると贈与税の課税対象になります。2分の1の持分ずつ贈与しても贈与税が課税されてしまいます。3分の1ずつでもまだ贈与税の対象です。2,000万円の価値の土地を贈与税がかからないように持分で生前贈与するためには、単純計算で20分の1ずつ生前贈与しなければいけません。

贈与税が不安なら、贈与税がかからない持分で生前贈与を進めることを検討してはいかがでしょう。

持分贈与の場合は早めに贈与をはじめる

暦年贈与は贈与税対策として有効ですが、生前贈与に時間がかかるという難点があります。1回で東大阪市の土地を贈与すれば1年かつ1回の手続きで済みます。しかし土地を持分20分の1ずつで生前贈与するとなると、土地の贈与が完了するまで20年かかる計算です。父親が現在65歳ですから、生前贈与が完了するのは85歳です。持分を少しずつ生前贈与する場合はどうしても時間がかかります。

父親の年齢以外にも、懸念事項があります暦年課税が廃止されるのではないか、あるいはルールが変更されるのではないかという噂があるのです。

令和3年度税制改正大綱に「暦年贈与を見直しする」という記載が見られるため、ルール変更や廃止が行われるのではないかと不安視されています。いずれにしろ、生前贈与は早めにはじめた方がいいでしょう。

父親の死亡から3年以内になされた生前贈与については、相続税の課税価格に算入される(生前贈与加算)というルールもあります。そういった意味でも、生前贈与をはじめるなら早めの方が安心です。

定期贈与と認定されないように注意

毎年同じ持分を生前贈与する場合、定期贈与と認定されないよう注意しなければいけません。年間110万円までの贈与は原則的に非課税ですが、定期贈与と認定されれば110万円の枠内の贈与でも贈与税が課税されてしまうのです。

たまたま毎年贈与をしていた場合は1年ごとの贈与について贈与税納付の要否が問題になります。しかし、あらかじめ額を決めて分割して贈与していた場合は、あらかじめ決めていた額について贈与税納付の要否が問題になります。

たとえば、毎年たまたま100万円、90万円、30万円と現金を贈与することになりました。特に贈与の約束をしていたわけではありませんし、贈与税の非課税枠110万円ですから贈与税はかかりません。

しかし、1,000万円を贈与する約束で毎年100万円ずつ贈与していた場合は1,000万円を贈与する予定で100万円ずつ渡したわけですから、定期贈与と認定されて1,000万円という額に対して贈与税が課税される可能性が高くなります。

110万円という非課税の範囲内だからといって安心はできません。定期贈与と認定されないためにも、贈与する持分を毎年変えたり、持分を移転する時期を変えたりするなど、工夫が必要です。

贈与税がかかることを覚悟して、あえて1回で贈与する方法もあります。この方法は贈与税こそかかりますが、毎年贈与するより手間がかかりません。

 

不動産取得税について

生前贈与では贈与税に気を取られがちですが、不動産取得税にも注意が必要です。

相続では不動産取得税はかかりません。対して生前贈与は不動産取得税の課税対象になります。不動産取得税について試算しておくなど、額を把握して準備を整えておきましょう。

 

本人の意思

今回のケースでは父親も生前贈与に同意しているというお話でした。ただ、土地を持分で生前贈与することへの同意は取り付けていないというお話でしたので、この点について父親の同意を得ておく必要があります。

生前贈与は土地の名義人である父親と生前贈与を受ける息子の協力が不可欠です。生前贈与をどのように進めていくか、ふたりできちんと相談しておいてください。

父親の意思についてもう一点注意したいポイントがあります。

父親は現在65歳で健康状態も良好というお話でしたが、持分を毎年贈与する中で健康状態が悪化する可能性もゼロではありません。
父親が病気や事故で意思表示ができないと、贈与手続きができなくなってしまいます。

土地の持分を小分けで贈与する場合は、父親の健康状態に注意を払い、贈与を行える年数を予測した上で生前贈与計画を詰めることが重要です。贈与が長期に渡ると、その分だけ父親の健康リスクにより生前贈与が行き詰まる可能性があることをよく考えてください。

 

司法書士法人あやめ池事務所からのご提案

今回のご相談は相続税対策としての生前贈与です。税率の高い相続税がかかっては相続税対策の意味がありません。よって、贈与税対策ができる暦年贈与を活用して生前贈与することをおすすめします。

父親は現在65歳で健康状態も良好というお話ですから、早めに生前贈与をはじめればその分だけ110万円の非課税枠を柔軟に使えるはずです。

ただ、生前贈与を進める上で心配なのは父親の健康状態が変わってしまうことです。暦年贈与はどうしても年数がかかります。父親の健康状態には注意してください。

不動産の持分贈与手続の進め方

権利関係調査 (あやめ池事務所)

司法書士法人あやめ池事務所にて、生前贈与の対象となる土地について、権利関係上の問題点がないか、調査を行います。また、贈与税や不動産取得税、登録免許税など、手続に付帯する税負担についても、予め調査確認をおこないます。お客様が行う作業はありません。すべての調査を、司法書士法人あやめ池事務所の担当スタッフが行います。

必要書類の準備 (お客様)

手続に必要な書類を収集します。ご要望があれば、司法書士法人あやめ池事務所で代理収集することも可能です。

贈与する物件の権利証もしくは登記識別情報通知
贈与する物件の課税明細書
お父様の印鑑証明書
お父様の実印
お父様の本人確認書類の写し
長男様の住民票
長男様の認め印
長男様の本人確認書類の写し

登記書類の作成~署名・押印~登記申請

事前調査~必要書類の準備が完了しましたら、司法書士法人あやめ池事務所にて、登記申請書、登記原因証明情報、贈与証書、委任状、上申書など、名義変更登記に必要な書類を作成します。

そのうえで、お父様・息子様にご説明のうえ、署名・押印をして頂きます。
ご説明や署名・押印をしていただく際には、下記のいづれの方法でも対応可能です。

登記書類への署名・押印が済みましたら、司法書士法人あやめ池事務所より、管轄法務局へ名義変更登記を申請させて頂きます。

 

不動産の持分贈与を行う場合の費用について

司法書士法人あやめ池事務所にて、今回のケースのような不動産の持分贈与による不動産名義変更登記を行う場合の費用は下記の通りです。

登記費用 78,500円(税込84,000円)

手数料 登録免許税等の実費
名義変更登記/贈与 30,000円(税込33,000円) 20,000円
贈与証書・登記原因証明情報作成 15,000円(税込16,500円) 400円
事前面談・本人確認業務 10,000円(税込11,000円)
事前調査 1,000円
登記情報・登記事項証明書
600円
郵便代・通信費
1,500円
小計 55,000円(税込60,500円) 23,500円
合計

78,500円(税込84,000円)

※前提条件について
贈与対象物件の評価額2000万円
父から息子に対して、持分20分の1を贈与する。

司法書士からひとこと

司法書士からひとこと

贈与税の基礎控除を利用すれば、不動産の持分を少しずつ贈与することも可能です。不動産の贈与手続では、手続方法によって、かかる税負担が大きく異なる場合もあります。迷った際には税理士や司法書士など、専門家に相談して、最善の方法を検討することをおすすめいたします。

不動産の名義変更、相続、遺言、離婚、会社登記など

司法書士法人あやめ池事務所

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正式にご依頼を頂くまで、費用はかかりません。

司法書士法人あやめ池事務所では、ご相談を頂いたお客様に、手続方法のご提案書・概算見積書を差し上げています。正式なご依頼前に、手続内容や費用について、じっくり時間をかけて確認したり、ご家族と相談したり、ご自身で納得できるまで、よくご検討ください。

相談後に、あやめ池事務所から営業電話や手続の催促をするようなことはありません!ご安心してご利用ください。

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