【住宅購入・新築】自分で出来る登記と自分で出来ない登記
住宅購入・新築に関する登記手続のうち、自分で出来るものと、自分で出来ないものをパターン別に分類しました。登記手続は、原則的にはご自身で行うことができますが、手続の安全上の理由・当事者間でのリスク管理等の理由などにより、ご自身で行うことが難しいものも存在します。今回は、住宅購入・新築の登記手続について、パターン別に出来る・出来ないを解説します。
新築住宅を建てる場合【ローンなし】
住宅を新築する場合(ローンなし)に必要になる登記手続は次の通りです。
・建物表題登記
・所有権保存登記
↓
【結論】自分で出来る!
建物表題登記について
建物表題登記は、住宅の所在地・構造・床面積・図面等の基本的情報を登録する手続で、建物を新築した際に必要になります。
建物表題登記は、所有者の単独申請で行う登記で、ご自身で行うことができます。
ただし、建物を建てたハウスメーカーや工務店から建物引渡証明書・印鑑証明書等の書類を受け取る必要があります。
これらの書類を「専門家である土地家屋調査士や司法書士にしか渡せない!」と主張されるハウスメーカーや工務店もありました。
事前にハウスメーカーや工務店に、「建物表題登記は自分で行います」と伝えて、了解を得ておくと安心です!
また、建物表題登記では図面を作成する必要がありますので、ご自身で行う際には、若干難易度が高い登記と言えます。
所有権保存登記について
所有権保存登記は、新築建物の所有者を登録する手続です。先の建物表題登記で、新築建物の所在地・構造・床面積・図面等の基本的情報を登録しましたが、所有権保存登記では、当該建物の所有者を登録します。
所有権保存登記は、所有者の単独申請で行う登記で、ご自身で行うことができます。
所有権保存登記では、申請時に登録免許税という税金を納付する必要があります。登録免許税は、物件の規模や使用用途によって軽減措置が適用されるケースが多くあります。
利用できる軽減措置がないか確認をしたうえで申請を行いましょう。
新築住宅を建てる場合【ローンあり】
住宅を新築する場合(ローンあり)に必要になる登記手続は次の通りです。
・建物表題登記
・所有権保存登記
・抵当権設定登記
↓
【結論】
建物表題登記は自分で出来る!
所有権保存登記・抵当権設定登記は出来ない。もしくは非常に難しい。
建物表題登記について
建物表題登記は、住宅の所在地・構造・床面積・図面等の基本的情報を登録する手続で、建物を新築した際に必要になります。
建物表題登記は、所有者の単独申請で行う登記で、ご自身で行うことができます。
ただし、建物を建てたハウスメーカーや工務店から建物引渡証明書・印鑑証明書等の書類を受け取る必要があります。
これらの書類を「専門家である土地家屋調査士や司法書士にしか渡せない!」と主張されるハウスメーカーや工務店もありました。
事前にハウスメーカーや工務店に、「建物表題登記は自分で行います」と伝えて、了解を得ておくと安心です。
また、建物表題登記では図面を作成する必要がありますので、ご自身で行う際には、若干難易度が高い登記と言えます。
所有権保存登記・抵当権設定登記について
所有権保存登記は、新築建物の所有者を登録する手続です。先の建物表題登記で、建物の所在地・構造・床面積・図面等の基本的情報を登録しましたが、所有権保存登記では、当該建物の所有者を登録します。
抵当権設定登記は、住宅ローンを利用して中古住宅を購入する場合、購入した物件を住宅ローンの担保として登録します。この手続を、抵当権設定登記と言います。
所有権保存登記は物件の所有者の単独申請ですが、抵当権設定登記は、物件の所有者と金融機関の共同申請となります。
所有権保存登記と抵当権設定登記は、まとめて一括で申請します。
抵当権設定登記を自分で行うためには、共同申請人となる金融機関の同意が必要です。
金融機関に対して、「登記は自分でやりたい」と申し出ても、ほぼ確実に許可されません。
なぜなら、金融機関側のリスクが高すぎるからです。
住宅ローンとして、数千万円のお金を貸しつけて、その担保として購入物件を登録するという重要な手続を、お金を借りる側(買主様)に一任することは、リスク管理上できないのです。
万が一、買主様の手続の不備もしくは悪意で、購入物件に担保設定が出来なかった場合、金融機関は多大な損害を被る恐れがあります。
ですから、抵当権設定登記については、第三者である司法書士に依頼することが求められ、ご自身で行うことはできません。
また先にも述べましたが、所有権保存登記と抵当権設定登記はまとめて申請します。
所有権保存登記に不備があり却下されると、抵当権設定登記もまとめて却下されます。
つまり、両者は一蓮托生の関係にあるのです。
ですから、所有権保存登記についても、金融機関から第三者の専門家である司法書士に依頼するように求められることが多いです。
従いまして、所有権保存登記についても抵当権設定登記についても、ご自身で行うことは非常に難しいといえます。
自分で登記を出来ないなら、自分で登記の依頼先を探しましょう!
住宅ローンを利用する場合、自分で登記をすることは、正直難しいところです。
だからといって、金融機関や不動産屋さんの紹介する司法書士事務所に手続を一任しなければならない訳ではありません。
費用・手続内容・サービス内容を比較して、登記手続を依頼する司法書士事務所を検討しましょう。
司法書士の手数料は自由化されています。
依頼先によって、サービス内容も異なりますのでよく確認をしましょう!
中古住宅を購入する場合【ローンなし】
ローンを利用しないで中古住宅を購入する場合に必要になる登記手続は次の通りです。
売主様から買主様へ売買による所有権移転登記
↓
【結論】自分で出来る!
ただし売主様との連携が必要。
売買による所有権移転登記手続は、売主様と買主様の共同申請となります。売主様と買主様がご納得されるのであれば両者で連携して、登記手続を行うことができます。
ただし、不動産屋さんが仲介に入っている場合、取引の安全性を考慮して、司法書士へ依頼することを強く勧められると思われます。
ご自身で登記をする場合の注意点
売主様側に住所・氏名の変更登記が必要な場合は、売買による所有権移転登記の前提として、住所・氏名の変更登記が必要です。
売主様側に住宅ローン等の残債があり、抵当権が設定されている場合、抵当権を抹消してから、売買による所有権移転登記を行います。抵当権が残ったまま売買による所有権移転登記をおこなうことはとても危険ですので、要注意です。
中古住宅を購入する場合【ローンあり】
住宅ローンを利用して中古住宅を購入する場合に必要になる登記手続は次の通りです。
・住宅ローンの担保として抵当権設定登記
↓
【結論】できない。もしくは非常に難しい。
所有権移転登記・抵当権設定登記について
売買による所有権移転登記は、売主様から買主様へ物件の所有権を変更する登記手続です。
抵当権設定登記とは、住宅ローンを利用して住宅を購入した時に、購入した物件を住宅ローンの担保として登録する手続です。
所有権移転登記は売主様と買主様の共同申請となります。抵当権設定登記は、買主様と金融機関の共同申請となります。
なお、所有権移転登記と抵当権設定登記は、まとめて一括で申請します。
所有権移転登記および抵当権設定登記を自分で行うためには、共同申請人となる売主様と金融機関の同意が必要です。
売主様は同意してくれるかもしれませんが、金融機関に対して、「登記は自分でやりたい」と申し出ても、ほぼ確実に許可されません。
なぜなら、金融機関側のリスクが高すぎるからです。
住宅ローンとして、数千万円のお金を貸しつけて、その担保として購入物件を登録するという重要な手続を、お金を借りる側(買主様)に一任することは、リスク管理上できないのです。
万が一、買主様の手続の不備もしくは悪意で、購入物件に担保設定が出来なかった場合、金融機関は多大な損害を被る恐れがあります。
ですから、抵当権設定登記については、第三者である司法書士に依頼することが求められ、ご自身で行うことはできません。
また先にも述べましたが、所有権移転登記と抵当権設定登記はまとめて申請します。
所有権移転登記に不備があり却下されると、抵当権設定登記もまとめて却下されます。つまり、両者は一蓮托生の関係にあるのです。
ですから、所有権移転登記についても、金融機関から第三者の専門家である司法書士に依頼するように求められることが多いです。
従いまして、所有権移転登記についても抵当権設定登記についても、ご自身で行うことは非常に難しいといえます。
自分で登記を出来ないなら、自分で登記の依頼先を探しましょう!
住宅ローンを利用する場合、自分で登記をすることは、正直難しいところです。
だからといって、金融機関や不動産屋さんの紹介する司法書士事務所に手続を一任しなければならない訳ではありません。
費用・手続内容・サービス内容を比較して、登記手続を依頼する司法書士事務所を検討しましょう。
司法書士の手数料は自由化されています。
また依頼先によってサービス内容も異なります。
じっくり検討して依頼先を探しましょう!
まとめ
住宅購入・新築の登記について、自分で行うことができるかどうかの分岐点は、住宅ローン利用の有無です!
住宅ローンを利用しない場合には、自分で登記できます。逆に、住宅ローンを利用する場合には、自分で登記を行うことは難しいです。
自分で登記出来る場合であっても、高額な不動産を取扱うわけですから、細心の注意を払って手続を行いましょう!
利用できる軽減措置に気が付かず、本来ならば納付しなくてよい登録免許税を納付してしまった・・・なんて事にならないように不明点があれば、管轄法務局や司法書士に相談しましょう!