持ち家×離婚 持ち家の価値をどう考える?離婚時の持ち家の評価方法について

離婚・財産分与の登記

持ち家×離婚 持ち家の価値をどう考える?離婚時の持ち家の評価方法について

離婚時に持ち家がある場合、その扱いが非常に重要なポイントになります。家の価値をどう評価し、どのように分配するのかは、財産分与を進める上で避けて通れない課題です。本記事では、持ち家の価値評価の方法や分配方法について、わかりやすく解説します。

財産分与における、持ち家の評価額とは・・・

持ち家を含めて、財産分与を検討する際には、持ち家の評価額を知る必要があります。

預貯金や株式などの金融資産は、評価額が一目瞭然ですが、持ち家には、様々な評価額算出方法があり、それぞれ算出される金額が異なります。

つまり、持ち家には、複数種類の「評価額」があるのです。しかも、財産分与にあたり、どの評価額を利用しなければならないというルールはありません。

協議離婚の場合には、当事者の話し合いで利用するどの評価額を利用するか決めます。また調停や訴訟など、裁判所が関与する離婚手続では、裁判所がどの評価額を利用するか決めることになります。

主な評価額算出方法と利用シーン

固定資産税評価額

自治体が算出する評価額で、固定資産税や不動産取得税の計算基準になります。市場価値の7割程度とされることが多く、簡易的な目安として使われることがあります。当事者の話し合いで財産分与を進める際、双方が同意しやすい基準として選ばれることがあります。

不動産業者の査定額

不動産業者が市場動向に基づいて算出する金額です。売却を前提とした現実的な価格を反映するため、実際の市場価格に近い形で利用できます。持ち家を売却する予定がある場合や、市場価値を基準に分与額を決めたい場合に有効です。

不動産鑑定士の鑑定額

不動産鑑定士が専門的な分析を行って算出する評価額です。最も信頼性が高い一方で、鑑定費用がかかります。財産分与の協議が難航している場合や、裁判所での判断材料として利用されます。

実際の売却価格

持ち家を売却した場合に確定する実際の取引価格です。市場価値をそのまま反映しますが、売却後でなければ金額が確定しません。売却が決まっている場合や、売却後の分配を予定している場合に利用されます。

 

どの評価額を利用するかの決定方法

話し合いによる合意

離婚協議書や公正証書に、どの評価額を利用するか明記することで、後々のトラブルを防ぐことができます。

公平性を重視した基準の選択

両者にとって納得感が高い基準を選ぶことが重要です。

たとえば、持ち家を売却したうえで金銭による財産分与を予定している場合や、市場価値を重視する場合は、不動産業者の査定額や売却価格が公平性が高いといえます。

逆に、持ち家を売約する予定がなく、どちらか一方が住み続けるような場合には、現状での査定額等を利用すると公平と言えず、固定資産税評価額等を利用する方が適していることもあります。

裁判所の関与が必要な場合

話し合いで決着しない場合、家庭裁判所が適切な持ち家の評価額を決定するケースもあります。この場合、不動産鑑定士の鑑定額が重視されることが一般的です。しかし不動産鑑定士による持ち家の鑑定には、まとまった費用が必要です。コストも考慮したうえで評価額の算出方法を選ぶと良いでしょう。

財産分与においてどの評価額を利用するかを明確にすることで、公平かつスムーズな手続きが可能になります。専門家のアドバイスを受けながら、双方が納得できる基準を選びましょう。

子どもがいる場合の考慮点

子どもの学校や生活環境を変えたくない場合、持ち家を維持することが重要になることがあります。このような場合には、財産分与における公平性を超越して、持ち家の帰属や住宅ローンの処理を考える必要があるケースもあります。

離婚手続の目的に合わせた対応を・・・

持ち家の評価方法は、財産分与を話し合う上で、たしかに重要な項目となりますが、離婚手続の目的によっては、持ち家の評価方法に固執するのではなく、広い視野で全体を把握する方がよい場合もあります。

一円単位まで、正確に財産分与をしたい・・・とことんまで自分の主張を通したい・・・という方にとっては、持ち家の評価方法は最重要項目です。弁護士さんに相談のうえ、離婚調停や訴訟の準備をしましょう。

しかし、そうでなく、円滑にスムーズに、穏便に離婚手続を進めたいという方は、財産分与以外の事項、たとえば親権や養育費、年金分割など、幅広く話し合って、落としどころを探っていく方が良いのかもしれません。

当事者の話し合いで、ある程度合意が形成できるのであれば、離婚調停や訴訟は不要です。司法書士等に相談の上、離婚協議書の作成~名義変更登記等へと、協議離婚の手順を進めていくことになります。

司法書士からひとこと

司法書士からひとこと

持ち家の評価方法は、多種多様です。どの評価方法を採用するかで、一方にとっては有利となり、相手方にとっては不利となります。しかし、協議離婚の手続を数多く取り扱っている立場からお話しすると、そこまで、シビアに評価方法について固執されるケースはあまりありません。
トータル的な離婚協議の中で、具体的な財産分与の方法や金額を取り決める方が多い印象です。

不動産の名義変更、相続、遺言、離婚、会社登記など

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