【事例解説】生駒市のマンション(時価1500万円)を夫から妻へ名義変更する際の、注意点、手順、費用について
夫から妻へ自宅マンションを贈与により名義変更する場合の、注意点や、手順、費用についてサンプル事例にそって、解説しています。
不動産の生前贈与に関する事例
生駒市に自分(夫)名義の分譲マンションを所有しています。将来的な相続のことを考えて生駒市のマンションの名義を妻に移そうか悩んでいます。それというのも、自分と妻には子供がいないからなのです。妻と自分の兄弟が不仲という事情もあります。
子供がいれば自分亡き後に妻と子供が相続人になります。しかし、自分たち夫婦には子供がいませんし、自分の両親も亡くなっています。自分には兄弟がいますので、相続では妻と兄弟が相続人になるのです。住んでいるマンションの相続人が妻と兄弟になった場合、妻が相続後も住み続けられるか不安に感じています。生駒市のマンションを妻名義にしてしまえば、自分亡き後も兄弟と揉めずに妻が住み続けられると考えました。
ただ、妻にマンション名義を移す場合、税金がどうなるのか不安です。
生駒市のマンションを自分から妻に名義変更する場合はどのような税金がかかるでしょうか。兄弟との相続トラブルも不安なので、相続対策などもあれば教えてください。
相談の要点
相談者は68歳の夫。63歳の妻へマンションを生前贈与したい 夫婦の婚姻期間は35年
生駒市にある分譲マンションは築25年、固定資産税評価額は800万円
夫婦には子供がいない。夫の両親は亡くなっている
夫には兄弟が4人いて、妻とは不仲である
夫婦間の不動産贈与に関して注意すべき点
妻と兄弟4人の不仲が心配で、自分亡き後の妻の生活を考えて住居であるマンションの名義変更を検討しているというご相談です。
妻と兄弟が不仲ということは、何も対策していないと妻と兄弟が相続人になってしまい、妻と兄弟の間で相続トラブルが発生する可能性があります。夫婦が住んでいる現在夫名義になっているマンションも遺産ですから、兄弟と相続トラブルになれば妻の居住が脅かされるかもしれません。
生駒市のマンションの名義変更のご相談ですが、お悩みの本質は「妻と兄弟の相続トラブルを回避し妻の居住を守りたい」ではないでしょうか。
今回のご相談で考えたいポイントは3つあります。
妻に生駒市のマンションを贈与する場合は贈与税などがかかる
妻に生駒市のマンションを贈与する場合は「全部」も可能だが「一部」も可能である
妻と兄弟姉妹の相続トラブルを回避するために対策しておく
贈与税について
妻に生駒市のマンションを贈与する場合にかかる税金は3つあります。贈与税と不動産取得税、登録免許税です。
贈与税は不動産などの財産を贈与したときの税金になります。仮に夫が亡くなった妻や兄弟がマンションを相続した場合は相続税が課税される可能性があるのですが、生前贈与は相続ではないため贈与税の課税対象です。妻という身近な人間に贈与しても贈与税の課税対象になるため注意してください。
ただ、妻への贈与では、贈与税の負担を軽減できる「夫婦間の居住用不動産贈与特例」を利用できる可能性があります。
夫婦間の居住用不動産贈与特例は婚姻期間20年を超える夫婦が居住用不動産または居住用不動産を購入するための資金を贈与した場合に2,000万円まで控除できる特例です。贈与税には110万円という基礎控除がありますが、基礎控除以外に2,000万円という枠が使えるため、控除枠の合計は2,110万円になります。
夫婦間の居住用不動産贈与特例を使うことで夫婦間のマンション贈与の贈与税問題に対処可能です。
不動産取得税について
妻にマンションの名義を移す場合は贈与税以外に不動産取得税と登録免許税についても考えなければいけません。
不動産取得税は不動産を新しく取得したときにかかる税金です。相続により不動産を取得した場合は不動産取得税の課税対象外です。対して、生前贈与で不動産を取得した場合は不動産取得税の課税対象になります。妻に生駒市のマンションを贈与するときは、あらかじめ不動産取得税を試算して現金の準備をするなど、税金対策をしておきましょう。
登録免許税について
登録免許税とは不動産の名義変更登記の際に納付する税金になります。登記の手数料的な位置づけの税金です。夫から妻への名義変更登記の登録免許税も合わせて準備しておくことで、税金への不安は解消されるはずです。
登録免許税については司法書士に尋ねれば額を教えてもらえますので、生前贈与・名義変更の相談の際に確認しておくといいでしょう。
全部贈与することもOK、一部贈与することもOK
マンションなどの不動産を贈与する場合はすべて贈与しなければならないわけではありません。不動産の一部だけ贈与することも可能です。一部を贈与する場合、暦年贈与という選択肢もあります。
たとえば、マンションの持分の10分の1を妻に贈与して名義変更しました。次の年も持分を小分けにして妻に贈与しました。こうやって少しずつ贈与すれば、やがてすべての持分が妻の名義になります。この方法は少しずつ贈与するため面倒だと思うかもしれませんが、税金対策という点ではメリットのある方法です。
たとえば800万円の夫名義のマンションを贈与する場合、800万円の価値があるマンションを1回で贈与するより、8分の1の持分(100万円相当の価値)ずつ贈与する方が贈与税の額は小さくなります。場合によっては基礎控除の枠に収まるかもしれません。このように、小分けに贈与することは税金対策として有効です。
ただ、1回で贈与が終わらないため手続きは面倒になります。手続きの負担や税金負担をよく考え、比較した上で決めることが重要です。
推定相続人について
夫亡きあと、妻が夫の財産を相続するためには、夫の相続人となる兄弟との間で、遺産分割協議を行う必要があります。遺産分割協議の結果、妻が全ての財産を相続することに、兄弟が納得して入れればよいですが、そうとは限りません。
また、兄弟が高齢で寝たきりになっていたり、認知症になっていたりすると、遺産分割協議自体を行うことが出来ない状態となります。
このような場合には、妻は亡き夫の財産をスムーズに相続出来ないばかりか、兄弟に対して相続分相応の金銭を支払う必要が出てくる可能性もあります。
相続時に兄弟4人と妻の相続トラブルを回避するためには「遺言書の活用」が考えられます。
具体的には、遺言書に「遺産をすべて妻に渡す」旨を記載するのです。妻には遺留分がありますが、兄弟姉妹には遺留分はありません。遺言書を作成しておけば、トラブルを防止できます。
司法書士法人あやめ池事務所からのご提案
妻に生駒市のマンションを生前贈与する場合は、税金の中でも特に負担の重い贈与税対策として夫婦間の居住用不動産贈与特例の利用が考えられます。
また、妻と兄弟が不仲という話ですので、相続時に妻と兄弟の間でトラブルにならないように、遺言書も作成しておいた方がいいでしょう。遺言書には妻に遺産すべてを相続させる旨を記載する他、持ち戻し免除など必要事項を盛り込んでおくと安心です。同時に妻にも遺言書を作成してもらえば、夫婦双方の相続対策ができます。
夫婦間での不動産名義変更手続の進め方
権利関係調査 (あやめ池事務所)
司法書士法人あやめ池事務所にて、生前贈与の対象となる土地について、権利関係上の問題点がないか、調査を行います。また、贈与税や不動産取得税、登録免許税など、手続に付帯する税負担についても、予め調査確認をおこないます。お客様が行う作業はありません。すべての調査を、司法書士法人あやめ池事務所の担当スタッフが行います。
必要書類の準備 (お客様)
手続に必要な書類を収集します。ご要望があれば、司法書士法人あやめ池事務所で代理収集することも可能です。
贈与する物件の権利証もしくは登記識別情報通知
贈与する物件の課税明細書
夫の印鑑証明書
夫の実印
夫の本人確認書類の写し
妻の住民票
妻の認め印
妻の本人確認書類の写し
登記書類の作成~署名・押印~登記申請
事前調査~必要書類の準備が完了しましたら、司法書士法人あやめ池事務所にて、登記申請書、登記原因証明情報、贈与証書、委任状、上申書など、名義変更登記に必要な書類を作成します。
そのうえで、お父様・息子様にご説明のうえ、署名・押印をして頂きます。
ご説明や署名・押印をしていただく際には、下記のいづれの方法でも対応可能です。
事務所やご自宅での対面形式
スマホやPCを利用したオンライン面談形式 ※
※お手続の内容によっては、対面での面談が必須の場合もございます。
登記書類への署名・押印が済みましたら、司法書士法人あやめ池事務所より、管轄法務局へ名義変更登記を申請させて頂きます。
遺言の作成
名義変更登記と並行して、夫の財産をすべて妻に相続させる旨の遺言を作成します。下記のいづれの方法で作成することも可能です。
公正証書遺言
自筆証書遺言
料金について
司法書士法人あやめ池事務所にて、今回のケースのような夫婦間贈与による不動産名義変更登記~遺言の作成を行う場合の費用は下記の通りです。
登記費用 235,600円
手数料 | 登録免許税等の実費 | |
---|---|---|
名義変更登記/贈与 | 40,000円(税込44,000円) | 160,000円 |
贈与証書・登記原因証明情報作成 | 15,000円(税込16,500円) | 400円 |
事前面談・本人確認業務 | 10,000円(税込11,000円) | |
対象物件事前調査
|
1,000円 | |
登記情報・登記事項証明書
|
1,200円 | |
郵便代・通信費
|
1,500円 | |
小計 | 65,000円(71,500円) | 164,100円 |
合計 |
229,100円(税込235,600円) |
※前提条件について
贈与対象物件の評価額800万円
夫婦間の居住用不動産贈与の特例を利用する。
遺言については、ご自身で作成する。