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抵当権抹消登記は自分でもできる
住宅ローンを完済すると、銀行などの金融機関から抵当権抹消登記に必要な書類が送られてきます。
その書類を見て、
「司法書士へ依頼しなくても、自分で手続きできるのでは?」
と考える方も少なくありません。
結論からいうと、抵当権抹消登記はご自身で手続きをすることも可能です。
法務局では申請書の書き方などについて相談することができますし、必要書類が揃っていれば、ご自身で登記を完了させることもできます。
しかし、「自分でもできる」と「簡単にできる」は少し意味が違います。
実際には、銀行から届いた書類の内容を確認し、登記申請書を作成し、法務局へ提出しなければなりません。
さらに、書類に誤りがあれば補正の対応が必要になり、法務局へ再度足を運ばなければならないこともあります。
そのため、仕事や家事で平日に時間が取れない方にとっては、想像以上に負担を感じるケースも少なくありません。
まずは、抵当権抹消登記がどのような流れで進むのかを見ていきましょう。
抵当権抹消登記の基本から確認したい方は、「抵当権抹消登記とは?」もあわせてご覧ください。
自分で抵当権抹消登記をする流れ
抵当権抹消登記は、一般的に次の流れで進めます。
- 銀行から送られてきた書類を確認する
- 登記申請書を作成する
- 法務局へ提出する
- 補正があれば対応する
- 登記完了後、完了書類を受け取る
それぞれ詳しく見ていきましょう。
STEP1 銀行から送られてきた書類を確認する
住宅ローンを完済すると、銀行や保証会社から抵当権抹消登記に必要な書類が郵送されます。
封筒を開けると、数枚から十数枚の書類が入っていることもあり、
「どの書類を使えばいいの?」
「これは保管するだけ?」
と戸惑う方も少なくありません。
銀行によって書類の名称や様式は異なるため、一見しただけでは役割が分かりにくいものもあります。
銀行から送られてくる主な書類
- 登記識別情報通知または登記済証
- 解除証書
- 登記原因証明情報
- 抵当権解除証書兼登記原因証明情報
- 委任状
- 完済のお知らせ
- ご案内文書
銀行によっては、同じ役割の書類でも名称が異なります。
また、「解除証書」と「登記原因証明情報」が別々になっている場合もあれば、1枚にまとめられている場合もあります。
そのため、書類の名称だけを見て不要と判断し、誤って処分してしまうのは危険です。
特に登記識別情報通知などは再発行できませんので、登記が終わるまでは大切に保管しましょう。

書類の詳しい役割については、「抵当権抹消登記の必要書類」で詳しく解説しています。
銀行から届く書類は完成した書類ではありません
銀行から届いた書類は、そのまま法務局へ提出できる状態になっているとは限りません。
実際には、日付や当事者の氏名、不動産の表示などが空欄になっていることも多く、ご自身で記入しなければならないケースがあります。
例えば、解除証書や登記原因証明情報には、次のような項目が空欄になっていることがあります。
ご自身で記入することが多い項目
- 登記原因の日付(ローン完済日など)
- 登記申請日
- 登記義務者・登記権利者の氏名
- 不動産の表示(土地・建物)
- 管轄法務局名
銀行がこれらを空欄にしているのは、記入漏れではありません。
登記申請を行う方が記入することを前提としているためです。
また、不動産の表示は普段使用している住所ではなく、登記簿に記載されている「所在」「地番」「家屋番号」などを正確に記載しなければなりません。
さらに、書類によっては複数ページにわたって同じ内容を記入することもあります。
初めて登記を行う方にとっては、「どこに何を書けばいいのか分かりにくい」と感じる場面も少なくありません。
誤った内容を記入すると、法務局から補正の連絡を受けたり、再提出が必要になったりすることもあります。
STEP2 登記申請書を作成する
銀行から届いた書類を確認したら、次は法務局へ提出する「登記申請書」を作成します。
銀行から届いた書類だけでは登記申請はできず、登記申請書をご自身で作成する必要があります。
法務局のホームページには申請書の様式や記載例が掲載されていますので、それを参考に作成することも可能です。
申請書には、次のような内容を記載します。
- 登記の目的
- 登記原因
- 登記原因の日付
- 不動産の表示
- 添付書類
- 登録免許税
- 申請人の住所・氏名
記載項目自体はそれほど多くありませんが、登記簿どおりの内容を正確に記載することが重要です。
例えば、不動産の表示は普段使用している住所ではなく、「所在」「地番」「家屋番号」などを登記簿のとおりに記載しなければなりません。
また、登録免許税の計算や添付書類の記載にも注意が必要です。
小さな記載ミスでも補正の対象となることがありますので、提出前にもう一度見直しましょう。
STEP3 法務局へ提出する
登記申請書が完成したら、銀行から届いた書類と一緒に法務局へ提出します。
提出方法は、主に次の2つです。
- 法務局の窓口へ持参する
- 郵送で提出する
どちらの方法でも申請できますが、初めて手続きをする方は、窓口へ持参した方が安心かもしれません。
なお、提出先は全国どこの法務局でもよいわけではありません。
不動産の所在地を管轄する法務局へ提出する必要があります。
例えば、お住まいが大阪市であっても、不動産が奈良市にある場合は、不動産を管轄する奈良地方法務局へ提出します。
提出先を間違えると受理されませんので、事前に法務局のホームページなどで確認しておきましょう。
STEP4 補正があれば対応する
申請内容に誤りや不足があった場合は、法務局から「補正」の連絡があります。
補正とは、申請内容の不足や誤りを修正する手続きです。
例えば、次のような内容が補正の対象になることがあります。
- 日付の記載漏れ
- 不動産の表示の誤り
- 添付書類の不足
- 登録免許税の計算誤り
内容によっては電話で済むこともありますが、書類を差し替えたり追加書類を提出したりするために、再度法務局へ行かなければならないケースもあります。
「申請すれば終わり」と思っていた方が、補正対応のために何度も法務局へ足を運ぶことになるケースも珍しくありません。
平日に仕事をしている方にとっては、この補正対応が大きな負担になることもあります。
STEP5 登記完了・完了書類を受け取る
申請内容に問題がなければ、登記が完了します。
登記が完了すると、法務局で手続きが終了したことを証明する「登記完了証」などの完了書類を受け取ることができます。
法務局の窓口で申請した場合は、再度法務局へ行き、完了書類を受け取る必要があります。
郵送での返却を希望する場合は、申請時に返信用封筒などを提出しておけば、後日郵送で返却してもらうこともできます。
また、登記が完了した後は、登記事項証明書などを取得し、抵当権が正しく抹消されていることを確認しておくと安心です。
住宅ローンを完済していても、抵当権抹消登記をしなければ、登記簿には抵当権が残ったままです。
将来、不動産を売却したり、新たに融資を受けたりする際に問題となることがあるため、完済後は早めに抹消登記を済ませておきましょう。
自分で抵当権抹消登記をする場合の費用
抵当権抹消登記をご自身で行う場合、司法書士報酬はかかりませんが、登録免許税などの実費は必要です。
| 項目 | 費用の目安 |
|---|---|
| 登録免許税 | 不動産1個につき1,000円 |
| 登記事項証明書など | 数百円程度 |
| 郵送費・返信用封筒代 | 数百円~1,000円程度 |
例えば、土地1筆・建物1棟の一般的な戸建住宅であれば、登録免許税は合計2,000円です。
マンションの場合は、敷地権となっている土地の数などによって登録免許税が変わることがあります。
また、住所変更登記や氏名変更登記を同時に行う場合は、別途登録免許税が必要です。
詳しい費用については、「抵当権抹消登記の費用はいくら?」も参考にしてください。
このようなケースなら自分で手続きできる可能性があります
抵当権抹消登記は、次のようなケースであれば、ご自身でも比較的進めやすいでしょう。
- 住宅ローンを完済して間もない
- 銀行から届いた書類がすべて揃っている
- 不動産の所有者の住所・氏名に変更がない
- 平日に法務局へ行く時間がある
- 書類作成や役所での手続きが苦にならない
このようなケースであれば、法務局へ相談しながら手続きを進めることも可能です。
もっとも、「時間をかけても費用を抑えたい」という方には向いていますが、仕事や家事で忙しい方にとっては、法務局へ何度も足を運ぶことが負担になることもあります。

「自分でもできそう」と思っていても、住所変更や書類の不足など、思わぬところで手続きが複雑になることがあります。
まずはご自身がどちらのケースに当てはまるかを確認してみましょう。
このようなケースは司法書士へ依頼した方が安心です
次のようなケースでは、司法書士へ依頼した方がスムーズに手続きを進められることが多くあります。
住所や氏名が変わっている
住宅ローンを借りた後に引っ越しをしたり、結婚などで氏名が変わったりしている場合は、抵当権抹消登記だけでは手続きが完了しません。
住所変更登記や氏名変更登記をあわせて行う必要があります。
必要書類も増えるため、ご自身で判断するのが難しいケースもあります。
詳しくは、「住所変更がある場合の抵当権抹消登記」をご覧ください。
銀行から届いた書類を紛失してしまった
抵当権抹消登記に必要な書類の中には、再発行できないものもあります。
書類を紛失した場合は、通常とは異なる方法で手続きを進めなければならないことがあります。
「どの書類がないのか」によって対応方法が変わるため、早めに司法書士へ相談することをおすすめします。
詳しくは、「抵当権抹消書類を紛失した場合の対処法」をご覧ください。
完済から何年も経っている
「住宅ローンは10年以上前に完済したけれど、そのままにしていた」というご相談は珍しくありません。
抵当権抹消登記には法律上の期限はありませんが、時間が経つほど、次のような問題が生じやすくなります。
- 銀行が合併している
- 必要書類が見つからない
- 不動産の所有者に相続が発生している
早めに手続きをしておけば、このような問題を避けやすくなります。
不動産を売却する予定がある
不動産を売却する場合は、決済日にあわせて抵当権を抹消することが一般的です。
売買の日程はあらかじめ決まっていることが多く、書類の不備や補正によって手続きが遅れると、売買全体に影響を及ぼす可能性があります。
売却に伴う抵当権抹消登記は、司法書士へ依頼されるケースがほとんどです。
不動産売却時の登記については、「不動産売却時の抵当権抹消」も参考にしてください。
相続した不動産の抵当権を抹消したい
不動産の所有者が亡くなっている場合は、抵当権抹消登記の前に相続登記が必要となるケースがあります。
抵当権抹消だけでは済まないこともありますので、相続手続きも含めて司法書士へ相談すると安心です。
自分で手続きをする場合によくある失敗
抵当権抹消登記は比較的シンプルな登記ですが、それでも次のような失敗は少なくありません。
銀行から届いた書類を処分してしまう
封筒の中に入っている書類を「完済のお知らせ」だと思い込み、そのまま処分してしまうケースがあります。
登記が終わるまでは、届いた書類をすべてまとめて保管しておきましょう。
提出先の法務局を間違える
提出先は、お住まいの近くの法務局とは限りません。
不動産の所在地を管轄する法務局へ提出する必要があります。
不動産の表示を住所で書いてしまう
登記簿に記載されている「所在」「地番」「家屋番号」と、普段使用している住所は異なることがあります。
普段使っている住所をそのまま記載してしまうのは、初めて手続きをする方によくある間違いです。
住所変更登記が必要なことに気付かなかった
住宅ローンを借りた後に引っ越しをしている場合は、抵当権抹消登記だけでは完了しません。
登記簿上の住所と現在の住所が一致しているか、事前に確認しておきましょう。
補正になり、何度も法務局へ行くことになった
申請書の記載漏れや添付書類の不足などにより、補正の連絡を受けることがあります。
補正の内容によっては再度法務局へ行かなければならず、「思っていたより時間がかかった」と感じる方も少なくありません。
抵当権抹消登記はいつまでにするべき?
抵当権抹消登記には、法律上の期限はありません。
そのため、住宅ローンを完済したからといって、直ちに登記をしなければならないわけではありません。
しかし、手続きを後回しにすると、次のような問題が起こることがあります。
- 銀行から届いた書類を紛失する
- 相続が発生して手続きが複雑になる
- 売却時に慌てて手続きをすることになる
- 銀行の合併などにより確認事項が増える
そのため、住宅ローンを完済したら、できるだけ早めに抵当権抹消登記を済ませておくことをおすすめします。
詳しくは、「抵当権抹消登記に期限はある?」をご覧ください。
自分で手続きをするか迷ったら、まずはシミュレーターをご利用ください
抵当権抹消登記は、ご自身でできるケースもありますが、住所変更や書類の紛失などによって必要な手続きが変わることもあります。
「自分の場合は住所変更登記も必要なのかな?」
「司法書士へ依頼すると費用はいくらぐらい?」
そのような方は、まずは抵当権抹消シミュレーターをご利用ください。
質問に答えるだけで、ご自身に必要な手続きや概算費用をご確認いただけます。
司法書士へ依頼するメリット
抵当権抹消登記は比較的シンプルな登記ですが、司法書士へ依頼することで、書類作成から登記完了まで一括して任せることができます。
例えば、次のような作業をまとめて依頼できます。
- 銀行から届いた書類の確認
- 空欄となっている書類の補充
- 登記申請書の作成
- 法務局への登記申請
- 法務局からの補正対応
- 完了書類の受け取り
また、住所変更登記や氏名変更登記が必要な場合でも、あわせて手続きを進めることができます。
平日に何度も法務局へ行く時間が取れない方や、確実に手続きを終えたい方にとって、司法書士へ依頼するメリットは大きいでしょう。
司法書士法人あやめ池事務所では、銀行から届いた書類をご郵送いただくことで、抵当権抹消登記のお手続きを進めています。
ご自身で手続きをするか迷っている段階でも構いません。まずはシミュレーターで必要な手続きと概算費用をご確認ください。



