※この記事は2026年6月時点の法令・実務に基づき、内容の見直し・加筆修正を行いました。

中古住宅を購入すると必要になる登記とは?

中古住宅を購入すると、法務局で「名義変更」の手続きを行う必要があります。

具体的には、売主から買主へ所有者が変わったことを公示するための「所有権移転登記」を行います。

さらに、住宅ローンを利用して購入した場合には、金融機関の担保権を設定する「抵当権設定登記」も必要です。

これらの登記には、司法書士報酬とは別に、国に納める「登録免許税」がかかります。

しかし、一定の条件を満たす中古住宅であれば、住宅用家屋証明書を取得することで、登録免許税を大幅に軽減できる可能性があります。

数万円から十数万円、場合によっては数十万円も税金が安くなるケースがありますので、中古住宅を購入する方は必ず確認しておきましょう。

住宅用家屋証明書とは?

住宅用家屋証明書とは、市区町村が発行する証明書で、

「この住宅は、購入した人が自分で住むための住宅です」

ということを証明する書類です。

この証明書を登記申請時に提出すると、所有権移転登記や抵当権設定登記にかかる登録免許税の軽減措置を受けることができます。

たとえば、2,000万円の中古住宅を購入したケースでは、10万円以上税額が安くなることも珍しくありません。

中古住宅を購入する際には、非常に重要な書類の一つといえます。

中古住宅で住宅用家屋証明書が使える条件

住宅用家屋証明書を利用するためには、主に次の条件を満たす必要があります。

自分が住むための住宅であること

投資用不動産や賃貸用物件、別荘などには利用できません。

購入後、実際に居住する予定であることが必要です。

床面積が50㎡以上であること

登記簿上の床面積が50㎡以上であることが必要です。

登記簿上の建物面積は「内法面積」で計算されます。一方で、不動産会社のパンフレットや広告に記載されている専有面積は「壁芯面積」で表示されることが一般的です。

簡単にいうと、面積の計算方法が異なるのです。

そのため、登記簿上の床面積の方が少し小さくなることがあり、マンションではパンフレット上は50㎡を超えていても、登記簿上では50㎡未満となるケースがありますので注意が必要です。

一定の耐震基準を満たしていること

原則として、昭和57年1月1日以降に新築された建物が対象です。

昭和56年以前に建築された住宅でも、耐震基準適合証明書などを取得できれば対象になる場合があります。

その他の要件

自治体によっては追加書類が必要になることがあります。

詳細は事前に市区町村や司法書士へ確認すると安心です。

住宅用家屋証明書を使うとどれくらい安くなる?

住宅用家屋証明書を利用すると、登録免許税が次のように軽減されます。

登記の種類 通常税率 軽減後税率
所有権移転登記(建物部分のみ) 2.0% 0.3%
抵当権設定登記 0.4% 0.1%

たとえば、固定資産評価額(土地1,000万円、建物1,000万円)の中古住宅を購入した場合、

  • 通常:約35万円
  • 軽減後:約18万円

約17万円もの軽減となります。

さらに、住宅ローン2,000万円を利用する場合、

  • 通常:8万円
  • 軽減後:2万円

6万円の軽減となります。

※実際の登録免許税は、土地の軽減措置の有無や建物の種類などによって異なります。

事例① 住宅用家屋証明書を利用して約20万円節約できたケース

奈良市で中古戸建を購入されたAさん(30代ご夫婦)は、固定資産評価額(土地800万円、建物1,200万円)の住宅を購入し、住宅ローン3,000万円を利用されました。

当初、住宅用家屋証明書を利用しない場合の登録免許税は、

  • 所有権移転登記 36万円
  • 抵当権設定登記 12万円

合計48万円となる予定でした。

しかし、住宅用家屋証明書を取得した結果、

  • 所有権移転登記 15万6,000円
  • 抵当権設定登記 3万円

合計19万4,000円の税負担を軽減することができました。

中古住宅を購入する場合、住宅用家屋証明書を利用するだけで、大きな節約につながるケースがあります。

事例② 証明書を取得できず税金を多く支払ったケース

一方で、Bさんは中古住宅を購入したものの、住宅用家屋証明書の存在を知らず、そのまま登記手続きを行ってしまいました。

登記完了後に、

「住宅用家屋証明書を提出すれば税金が安くなった」

ことを知りましたが、登録免許税は原則として後から還付を受けることができません。

結果として、数十万円多く税金を支払うことになってしまいました。

登記費用を少しでも抑えたい場合は、登記申請前に住宅用家屋証明書の利用可否を確認しておくことが大切です。

住宅用家屋証明書の取得方法

住宅所在地を管轄する市区町村役場で申請します。

自治体によって異なりますが、一般的には次のような書類が必要です。

  • 売買契約書
  • 住民票
  • 登記事項証明書
  • 建築確認書類など

手数料は1,300円程度で、即日発行される自治体も多いです。

ただし、市区町村によって必要書類が異なるため、事前確認をおすすめします。

こんな場合は要注意!

  • 投資用マンションを購入した
  • 店舗付き住宅を購入した
  • 築年数が古い住宅を購入した
  • 購入後すぐに住む予定がない
  • 別荘として利用する予定である

このようなケースでは、軽減措置を利用できない可能性があります。

判断に迷う場合は、登記を依頼する司法書士や市区町村へ事前に相談しましょう。

司法書士に依頼するメリット

中古住宅の購入では、

  • 登記申請
  • 登録免許税の計算
  • 住宅用家屋証明書の取得
  • 金融機関との調整
  • 不動産会社との連携

など、多くの手続きが発生します。

特に、住宅用家屋証明書の取得漏れは、そのまま数万円から数十万円の損失につながる可能性があります。

司法書士法人あやめ池事務所では、住宅用家屋証明書の取得代行にも対応しています。

中古住宅購入時の登記費用が気になる方は、まずは概算見積をご利用ください。

まとめ

中古住宅を購入する際には、所有権移転登記や抵当権設定登記が必要となり、登録免許税という税金がかかります。

しかし、一定の条件を満たす住宅であれば、住宅用家屋証明書を利用することで、登録免許税を大幅に軽減できる可能性があります。

一方で、住宅用家屋証明書には床面積や耐震基準などの要件があり、登記申請後に「やっぱり軽減を受けたい」と思っても、原則として後から税金を取り戻すことはできません。

中古住宅を購入される際は、事前に利用できるかどうかを確認し、適切に手続きを進めることが大切です。判断に迷う場合は、早めに司法書士へ相談することをおすすめします。