※2026年7月 記事内容を全面的に見直しました。期限後の相続放棄が認められるケースや、預貯金を解約した後に借金が判明した場合の注意点など、最新の実務を踏まえて内容を充実させています。

相続放棄は3か月を過ぎても認められることがある

相続放棄には、民法で定められた3か月の熟慮期間があります。

しかし、3か月を過ぎたからといって、必ず相続放棄ができなくなるわけではありません。

例えば、

  • 長年連絡を取っていなかった親族の死亡を後から知った
  • 借金があることを全く知らなかった
  • 自分が相続人になったことを後日知った

このような事情がある場合には、家庭裁判所が期限後の相続放棄を受理する可能性があります。

そのため、期限を過ぎた場合でも、まずは事情を整理することが大切です。

まず知っておきたい「3か月」のルール

相続放棄は、民法915条により、「自己のために相続の開始があったことを知った日から3か月以内」に家庭裁判所へ申述しなければなりません。

この3か月を「熟慮期間」といいます。

ここで注意したいのは、死亡日ではなく「相続人になったことを知った日」が基準になることです。

例えば、長年疎遠だった父親が亡くなっていたことを半年後に知った場合には、その「知った日」が熟慮期間のスタートとなる可能性があります。

相続放棄の3か月ルール

被相続人が死亡

相続人になったことを知る

熟慮期間(3か月)

相続放棄をするか判断

3か月を過ぎても認められる可能性があるケース

期限後でも相続放棄が認められる可能性がある代表例をまとめると、次のようになります。

ケース 認められる可能性
死亡を知らなかった
自分が相続人だと知らなかった
借金を後から知った △(事情による)
長年疎遠だった
未成年・判断能力がなかった
法律を知らなかった ×
忙しくて手続きできなかった ×

大切なのは、「知らなかったことに相当な理由があるかどうか」です。

「借金を後から知った」は本当に認められる?

もっとも相談が多いのが、このケースです。

例えば、父とは20年以上連絡を取っておらず、死亡後しばらくして消費者金融から請求書が届き、初めて借金があることを知った。

このようなケースでは、期限後でも相続放棄が認められる可能性があります。

一方で、

  • 自宅に督促状が届いていた
  • 借金があることを以前から聞いていた
  • 預金や財産だけ確認して何もしなかった

などの場合は、「調べれば分かったはず」と判断されることもあります。

借金を後から知ったというだけで、必ず期限後の相続放棄が認められるわけではありません。

預金を解約した後に借金が見つかった場合はどうなる?

期限後の相続放棄の相談では、「父が亡くなって数年後、多額の借金があることが分かった。」というケースが少なくありません。

さらに、「死亡後すぐに預貯金を解約し、相続人で分けてしまった。」という事情が重なることもあります。

このような場合、多くの方が、

「預金を解約してしまったから、もう相続放棄はできませんよね?」

と不安になります。

確かに、相続財産である預貯金を解約し、自分のために取得・処分した場合には、「単純承認」に当たるとして相続放棄が認められない可能性があります。

一方で、すべてのケースが一律に判断されるわけではありません。

例えば、

  • 葬儀費用や入院費など、必要最小限の支払いのために預金を払い戻した場合
  • 相続財産と十分に認識しないまま形式的な手続きを行った場合
  • 解約や払戻しの経緯について、特別な事情が認められる場合

などでは、個別事情を踏まえて判断されることもあります。

つまり、「預金を解約した=必ず相続放棄できない」とも、「まだ相続放棄できる」とも言い切ることはできません。

預金をどのような目的で解約し、そのお金をどのように使ったのかが重要な判断材料になります。

もし、借金が見つかった後に「実は預金を解約していた」という場合には、自己判断せず、できるだけ早い段階で専門家へ相談することをおすすめします。

こんな理由では認められません

期限後の相続放棄では、次のような理由だけでは認められないことがほとんどです。

相続放棄という制度を知らなかった

法律を知らなかったことは理由になりません。

仕事や家事で忙しかった

忙しかったという事情だけでは期限は延長されません。

面倒だったので放置していた

何もしないまま3か月が過ぎた場合は、認められない可能性が高くなります。

家族で話し合いを続けていた

事情によっては考慮されることもありますが、それだけで認められるとは限りません。

3か月を過ぎたらまず何をすればいい?

期限後だからといって、何もしないのはおすすめできません。

まずは次の流れで確認しましょう。

① 相続財産や借金を調査する

② いつ相続を知ったのか整理する

③ 期限後になった理由をまとめる

④ 相続放棄に詳しい専門家へ相談する

⑤ 家庭裁判所へ事情を詳しく説明して申述する

期限後の相続放棄では、事情説明の内容が非常に重要になります。

相続放棄が認められなかった場合のリスク

相続放棄が認められなかった場合には、被相続人の借金や保証債務、未払い税金なども相続することになります。

例えば、

  • 消費者金融から請求が届く
  • 保証人としての債務を負う
  • 固定資産税や住民税の滞納分を請求される

といったケースもあります。

「もう期限が過ぎたから仕方ない」と自己判断せず、一度専門家へ相談することをおすすめします。

まとめ|期限後の相続放棄でも諦める必要はありません

相続放棄の3か月という期限は原則ですが、事情によっては例外的に認められるケースがあります。

一方で、「法律を知らなかった」「忙しかった」といった理由だけでは認められません。

期限後の相続放棄は、事情の説明や資料の準備が結果を左右することも少なくありません。

「3か月を過ぎてしまった」「借金が後から見つかった」といった場合でも、まずは状況を整理し、早めに専門家へ相談することが大切です。

当事務所では、期限後の相続放棄についてもご相談をお受けしています。状況をお伺いし、相続放棄が可能かどうかを丁寧にご案内いたします。


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